米国でアルトコイン関連ETFが複数上場へ。カナリーがLTC・HBAR、ビットワイズがSOL

SEC新ガイダンスが上場を後押し

米国で暗号資産(仮想通貨)に連動する複数の上場投資信託(ETF)が、政府機関の部分閉鎖下にもかかわらず今週新規上場するようだ。

元米フォックス・ビジネス(FOX Business)の記者で、クリプト・イン・アメリカ(Crypto In America)のジャーナリストであるエレノア・テレット(Eleanor Terrett)氏が10月27日に伝えたところによると、運用会社カナリー・キャピタル(Canary Capital)は、ライトコイン(LTC)を対象とした「Canary Litecoin ETF」およびヘデラ(HBAR)を対象とした「Canary HBAR ETF」の上場準備を進めており、両ETFは10月28日にナスダック市場へ上場する予定だという。

また、ザ・ブロック(The Block)の報道では、マルチコイン・キャピタル(Multicoin Capital)共同創業者のカイル・サマニ(Kyle Samani)氏が、グレースケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)が手がけるソラナ(SOL)関連ETF「Grayscale Solana Trust ETF」の上場予定をXに投稿したが、すぐに削除したとされている。

その他のETF関連の動きとしては、ビットワイズ・アセット・マネジメント(Bitwise Asset Management)が10月27日、米国で初の100%SOLに直接エクスポージャーを持つ上場取引商品「Bitwise Solana Staking ETF(BSOL)」を発表した。同ETFは2025年10月28日にニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引開始予定で、運用管理手数料は0.20%、さらに設定から3カ月間・運用資産10億ドルまでの範囲で管理手数料を0%とする。

BSOLは、保有するSOLをすべてステーキング運用に回す方針としており、投資家は価格上昇に加えてステーキング報酬の獲得が可能となる。なお、ステーキングとは、ネットワークの取引検証等に参加することで報酬を受け取る仕組みだ。

こうしたETF上場の動きが可能になった背景には、米証券取引委員会(SEC)が10月9日に発表したガイダンスがある。同ガイダンスでは、企業が株式公開を目指す際に提出する登録申請書(Form S-1)に遅延修正(delaying amendment)を付さない場合、提出から20日後に申請が自動的に効力を発揮することが明確化された。

今月初めに政府機関の閉鎖が始まる以前には、数十件の暗号資産ETFがSEC承認の最終段階にあったとされる。閉鎖下ではSEC職員の多くが休職状態にあり審査能力が制限される状況だったが、今回のガイダンスにより、一定の条件下で上場プロセスを継続する道が開かれた形だ。

参考:発表
画像:iStock/TaiChesco

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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