英中銀、2026年末までにステーブルコイン規制導入へ=報道

米ジーニアス法が方針転換の契機に

イングランド銀行(BoE)が、ステーブルコインに関する新たな規制を2026年末までに導入するようだ。「ブルームバーグ(Bloomberg)」が10月18日に報じた。

関係者によると、BoEは11月10日にステーブルコイン規制に関するパブリック・コンサルテーション(意見募集)を開始する予定であり、米国が進める規制方針に近い形で制度設計を進めるとみられている。具体的には、裏付け資産を短期国債など安全性の高い債券に限定するなど、米国の制度との整合性を図る構えだ。

米国では7月に採択されたジーニアス法(GENIUS Act)が、今回の英国の路線変更のきっかけとなったという。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が署名・成立させたジーニアス法は、米国内におけるステーブルコイン規制の確立を目的とするものだ。

同法は、ステーブルコインを現金または米国債で100%裏付けることを義務付け、銀行および非銀行発行体の監督基準や登録要件を明確化する内容を盛り込んでいる。

英当局も、裏付け資産として償還期間3カ月以内の政府債や短期債券を求める方針で、これも米国案に準じた内容となる。さらに、ステーブルコイン発行者が保有資産から利息を得られる設計を検討しており、英政府はこれにより英国債市場への資金流入促進を期待しているという。

一方で、一部の批評家はBoEに対し、対応の遅さや慎重すぎる姿勢を指摘している。しかし英当局の関係者は、「重要な側面ではむしろ英国のほうが進んでおり、米国と同時期、もしくはそれ以前に規制を確立できる可能性がある」と述べているという。

現在、英国において、個人のステーブルコイン保有上限を2万ポンド(約399万円)、企業の場合は1,000万ポンド(約20億円)とする暫定的な制限を設ける計画がある。しかしBoE副総裁のサラ・ブリーデン(Sarah Breeden)氏は、ステーブルコインが銀行預金からの急激な流出を引き起こすリスクが低下すれば、この制限を引き上げる方針を明かしている。

米国と英国は、「未来の市場のための大西洋横断タスクフォース(Transatlantic Taskforce for Markets of the Future)」の設立を決定している。

このタスクフォースは、米国・英国の金融規制ワーキンググループ(FRWG)を通じて両国財務省に報告を行う予定で、資本市場やデジタル資産、その他の革新的な金融活動に関する協力強化の提言を取りまとめる。提言は業界パートナーとの緊密な連携を通じて策定され、投資家・企業・市場参加者の3者に新たな機会をもたらすことを目指す。

参考:報道
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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