ジュピターがDAOガバナンス改革、JupVM搭載の独自チェーン「Jupnet」発表も

ジュピターがJUPエコシステムの構造変更へ

ソラナ(Solana)最大のDEX(分散型取引所)アグリゲーター提供のジュピター(Jupiter)によるJUPエコシステムの大幅な構造変更が10月16日に発表された。これにより分散型自律組織(DAO)はインパクトがより高いガバナンスシステムに移行し、提案数を削減してワークグループを廃止する。

なおジュピターDAO(Jupiter DAO)では、コミュニティ内での信頼関係の悪化を受け、6月20日より2025年末までガバナンス投票が一時停止している。今回の変更は2026年以降のジュピターDAOの在り方として採用される予定だ。

その他のエコシステムに関する変更点について詳細は明らかになっていない。今後順次、公開される予定とのこと。なお、JUPトークンのアンステーキング期間の変更についても発表されたが、こちらは今後数週間以内に実装される予定だ。なお同期間は、30日から7日に短縮される。

新ブロックチェーンJupnet

また同時にジュピターより、独自の仮想マシン「JupVM」を搭載した新ブロックチェーン「Jupnet(ジュプネット)」の開発が発表された。同ネットワークは低遅延取引、最小限の第三者依存、インターチェーン機能を実現することを目標としている。JupVMはソラナ仮想マシン(SVM)のオープンソースコードを基盤として、ジュピター独自のニーズに合わせて拡張されている。

Jupnetの主要機能として「集約分散型アイデンティティ(ADI:Aggregated Decentralized Identity)」を導入する。これによりユーザーはGoogleアカウントやFace ID、パスキーなどでサインインでき、従来の暗号資産ウォレットの複雑な操作を簡素化する。ADIには委任署名機能も含まれ、ユーザーは一時的なセッションキーを作成して主要秘密鍵を公開することなく取引できる。

また「DOVE(Decentralized Oracles that Validate and Execute)」と「オムニチェーン台帳」により、外部ブロックチェーンとのシームレスな通信を実現する。DOVEは外部チェーンの状態についての情報をネイティブに取得して、第三者オラクルへの依存を削減する。また統合ドルフレームワークにより、任意のネットワークからUSDCを転送すると統一USDC残高にクレジットされ、12種類の異なるラップ版USDCを扱う必要がなくなる。

高スループットを実現するため、「Jupnet」ではアプリ固有のシーケンシングを採用する。バッチトランザクションと呼ばれるガスレスで順次実行される署名済みトランザクションのグループをサポートし、オラクル更新やキャンセル注文などはブロックの上部に移動してMEV(最大抽出可能価値)を軽減する。リーダー選出はパフォーマンスと実績に基づく許可制となる。

さらに現在保有している1億2100万JUP(流通供給量の約3.8%)のバーン(焼却)について、別途DAO投票で決定される予定だ。将来の収益管理についても後続の投票で決定される。Jupnetの最初のアプリケーションとして「GUM(Global Unified Market)」がローンチ時に提供される予定となっている。 

画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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