レイヤーゼロ財団、スターゲートDAOから買収承認を獲得

LayerZero財団がStargate買収の承認獲得

クロスチェーンブリッジ「スターゲート(Stargate)」の分散型自律組織(DAO)が、相互運用性プロトコル「レイヤーゼロ(LayerZero)」の運営団体であるレイヤーゼロ財団(LayerZero Foundation)からの買収提案を8月24日に承認した。投票では95%近くの賛成票を獲得し、買収が正式に決定された。

買収条件では、スターゲートDAOは解散され、スターゲートの独自トークン「STG」の保有者は、レイヤーゼロの独自トークン「ZRO」と1STG:0.08634ZROの比率で交換できる。現在のトークン価格では、買収額は約1億2,000万ドル(約180億円)相当となる。

レイヤーゼロ財団は投票開始前に買収条件を修正し、STGのロックによりveSTGとブリッジ手数料収益を受け取っていた保有者への配慮を示した。修正案では、veSTG保有者は投票成立後6か月間、スターゲートの総収益の50%を受け取れる。残りの50%とその後のすべての「余剰収益」は、ZROトークンのバイバック・バーン(買い戻し・焼却)に使用される。

投票最終段階では、レイヤーゼロの競合である「ワームホール財団(Wormhole Foundation)」が1億2,000万ドルの現金による対抗買収案を提示し、投票を5日間一時停止するよう要請した。ワームホール財団は1億2,000万ドル相当のUSDCステーブルコインの資金調達を完了し、資金を別口座に移したと発表している。

ワームホールの対抗提案に続き、クロスチェーンプロトコルの「アクセラー(Axelar)」と「アクロス(Across)」も買収への関心を表明した。アクロスの共同創設者ハート・ランバー(Hart Lambur)氏は「プロセスが遅らされ、他の入札が適切に検討されるなら、アクロスも参加する」と述べ、より適切な入札プロセスの実施を求めた。

しかし、投票の一時停止を求める声があったものの、進行中の投票は継続され、24日に最終確定された。レイヤーゼロラボ(LayerZero Labs)のCEOであるブライアン・ペレグリーノ(Bryan Pellegrino)氏は「レイヤーゼロは過去4年間、最も効率的な資金移動を可能にするインフラを構築してきた。スターゲートの復帰により、レイヤーゼロエコシステムは最終消費者への明確なアクセスポイント、即座に収益を生み出す資産、そして価値移転の速度向上への明確な焦点を得る」と声明で述べた。

レイヤーゼロはこの買収を暗号資産業界におけるM&A(企業買収・合併)の勝利として位置づけ、「1億ドル超のDAO買収としては最初の事例の一つ」と表現している。スターゲートはスターゲートは、レイヤーゼロ上に構築された分散型ブリッジで、USDC、USDT、ETH、BTCなどのネイティブ資産を80以上のブロックチェーン間でシームレスに転送できる。レイヤーゼロはスターゲートについて「暗号資産で最も広く使用されているブリッジ」と説明している。

なおSTGトークンの時価総額は現在、ワームホールやアクセラーなどの他の人気ブリッジの独自トークンを下回っている。STG保有者は25日より公式サイト「stargate.finance」でZROトークンへの交換が可能になっている。

画像:iStocks/Aleksei_Derin

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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