米上院銀行委員会、デジタル資産市場構造法案の議論草案を公表

付随的資産やSECルール明確化へ

米共和党のティム・スコット(Tim Scott)委員長、シンシア・ルミス(Cynthia Lummis)小委員会委員長、ビル・ハガティ(Bill Hagerty)上院議員、バーニー・モレノ(Bernie Moreno)上院議員ら4名が、銀行委員会が管轄する問題を取り上げたデジタル資産市場構造に関する法案の議論草案を7月22日に発表した。

この草案は、すでに下院を通過している「CLARITY法案(Digital Asset Market Clarity Act of 2023/H.R. 3633)」を基礎にした内容で、米国におけるデジタル資産の取扱いの明確化や市場のルール形成を目的としている。

草案ではまず、「付随的資産(ancillary assets)」の概念が明確に定義されており、これにより一部のデジタル資産が証券とみなされない場合の基準が示される。また、付随的資産の募集・販売・分配に際して、一定の開示要件が課されることも盛り込まれている。

また、証券取引委員会(SEC)に対しては、いくつかの新たなルール制定が求められている。具体的には、まず「規則DA(Rule DA)」の導入により、過去4年間で総収入が7,500万ドル(約111億円)未満の付随的資産の募集・販売については、SECへの登録義務を免除する方針が示されている。

さらに、従来のハウィー(Howey)テストなどを踏まえた「投資契約(investment contract)」の定義の明確化や、デジタル資産の技術的特性に即した証券規制の見直しも提案されている。これにより、既存の開示義務や報告要件が、時代遅れで過度な負担とならないよう調整が図られる見通しだ。

加えて、草案には、不正な資金調達やマネーロンダリングの抑止を目的とした「検査基準」の策定も盛り込まれている。これにより、民間企業が法執行機関と連携しやすい体制の整備が促される。

さらに、銀行・金融持株会社が既存の法的枠組みのもとで、デジタル資産や分散型台帳技術(DLT)を用いた製品やサービスを提供できるようにする条項も含まれている。

関係者に意見募集を開始

草案の発表と同時に、4名の議員は意見募集(Request for Information:RFI)も公表しており、業界関係者に対して草案に関するフィードバックを求めている。なお、今回発表されたRFI(意見募集)では、草案に対するフィードバックを求めるにあたり、複数の質問項目が提示されている。

具体的には、規制の明確性と柔軟性、投資家保護、取引所および市場インフラの整備、資産の保管(カストディ)に関するルール、不正な資金調達への対応、銀行との連携、技術革新の促進、そして州法と連邦法の優先関係(preemption)に関する考慮点など、多岐にわたるテーマが挙げられている。回答期限は2025年8月5日に設定されている。

ハガティ上院議員は、「長い間、時代遅れの法律と規制の不確実性が、米国のイノベーションを阻み、消費者保護を後回しにしてきた。この議論草案は、関係者の声を反映しながら、イノベーションを支え、安全性を確保し、米国が引き続きデジタル資産のリーダーであり続けることを目指す責任ある法整備の第一歩となる」とコメントしている。

参考:発表
画像:iStocks/csfotoimages

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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