アリゾナ州知事が法案HB2324を拒否
米アリゾナ州のケイティ・ホブズ(Katie Hobbs)知事が、犯罪捜査で押収された暗号資産(仮想通貨)の管理を目的とした準備基金の設立を定める法案「HB2324」に拒否権を行使した。同知事が7月1日に公式書簡(veto letter)を発出した。
ホブズ知事は法案「HB2324」を拒否した理由について「押収資産を地方の管轄から取り除くことで、州と連携してデジタル資産の押収に取り組む地元法執行機関にとっての協力や動機を失わせる結果となる」と拒否権通知書で説明した。
法案「HB2324」では、押収された暗号資産のうち最初の30万ドルは、州の反組織犯罪対策回転基金に当てることが定められていた。30万ドルを超えた後は50%が同回転基金、25%が州の一般財源、残りの25%が「ビットコイン(BTC)およびデジタル資産準備基金」にそれぞれ配分されることが提案されていた。つまり同法案は、押収資産を州で戦略的に保有し、将来の公共事業や財務的余力に充てようとする政策だ。ただし押収資産を州で保有することで、地元警察などが押収資産を管理できなくなり、有効活用する機会も失われる。そのため、今回ホブズ知事は拒否権を行使したというわけだ。
なお今回の知事による拒否により法案「HB2324」を成立させるには、上下両院でそれぞれ3分の2以上の賛成による再可決が必要となった。この法案は今年5月に下院で一度否決されたものの、その後上院で再審議され、6月下旬には下院で34対22の賛成多数により可決されていた。
また法案「HB2324」が拒否されたことで、州で押収した暗号資産を「ビットコインおよびデジタル資産準備基金」に分配する仕組みが見送られることとなった。
なお同法案とは別に、5月7日に州の未請求財産制度に暗号資産を含める法案「HB2749」が成立した際にも「ビットコインおよびデジタル資産準備基金」は設立されている。この基金は、長期間放置され未請求とみなされた暗号資産のほか、エアドロップやステーキング報酬などのデジタル資産を保管・管理できる体制を目的としている。
参考:ケイティ・ホブズ知事・アリゾナ州1・アリゾナ州2
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