ベトナム、2026年からデジタル資産を正式に合法化へ

FATF対策やサイバーセキュリティ強化も

ベトナムの国会(国民議会)が「デジタル技術産業法」を6月14日に可決した。これにより、ベトナムにおいてデジタル資産が正式に合法化されると、現地経済紙「The Investor」が6月15日報じている。

この法律は2026年1月1日に施行される予定で、暗号資産を「作成・発行・保管・移転の際に、暗号化または類似のデジタル技術を用いて検証されるデジタル資産」と定義している。

具体的には、デジタル資産は「バーチャルアセット」と「クリプトアセット」の2種類に分類される。

「バーチャルアセット」は交換や投資の目的で利用されるデジタル資産、「クリプトアセット」は取引や所有権の証明に暗号技術を活用するデジタル資産とされている。なお、両資産には有価証券、デジタル化された法定通貨、その他の金融商品は含まれない。

法律の施行により、政府はデジタル資産の分類、事業条件、管理方法に関する詳細を定めることになる。また、規制当局はサイバーセキュリティの確保、資金洗浄防止、テロ資金供与や大量破壊兵器の拡散防止に向けた対策を実施する。

この法律はまた、国際的な規範に沿ったサイバーセキュリティおよびアンチマネーロンダリング措置の導入を義務付けており、FATF(金融活動作業部会)の懸念に対処することも狙いのひとつとされる。ベトナムは2023年以降、FATFのグレーリストに指定されている。

またこの法律はデジタル資産に限らず、ベトナムのデジタル技術産業全体の育成にも資するものであり、法的基盤としての役割を果たす。

デジタル技術企業に対し、さまざまな優遇措置を導入し、イノベーションの促進、技術の実験的導入、共有型デジタルインフラの整備を支援する。

具体的には、企業向けインセンティブ政策、共有インフラの整備、スタートアップ支援、人材育成、技術導入の支援などが盛り込まれる予定だ。

また、地方自治体に対しては、デジタル技術産業における人材育成支援を実施するよう義務付けられており、特に半導体やAIシステムなどに関わるプロジェクトに従事する人材の採用、訓練、再訓練、スキル向上にかかる費用の補助が行われる。

また、ソフトウェア、AI、半導体、AIデータセンターなど、主要なデジタル技術製品の生産・提供に関するスキル訓練への参加も推奨されており、これらの分野には、法律で定められた投資・税制・土地利用の優遇措置が適用される見通しだ。

参考:報道
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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