世界経済フォーラムが「コロナウイルスが引き起こしたサプライチェーンへの混乱をブロックチェーンでどう解決すべきか」という記事を公開

World Economic Forum(世界経済フォーラム)がコロナウイルスによるサプライチェーンの混乱を受けて、専門家たちがサプライチェーン全体での可視性・透明性を高める必要性を再確認していると記事で発表した。

一般的にサプライチェーンで可視性・透明性を高めることは、サプライチェーンの効率性と敏捷性を最適化するための鍵であると考えられている。
しかし、コロナウイルスのような有事に、重要なサプライチェーンの混乱が発生した場合、可視性・透明性はエコシステム内の代替サプライヤーへのルートを開発するなどの行動計画立て直し、実行することができうる非常に重要な役割を果たすとのこと。

実際に、コロナウイルスは各国へロックダウンを引き起こしたため、チェーン内のサプライヤーは一時的に生産を停止しており、物流業者は国境を越えてシームレスに商品を輸送することができなくなっている。

しかしサプライチェーンに可視性・透明性が不足しているのは、新しい問題ではないとのこと。世界経済フォーラムの記事によれば、多くの企業は何十年もかけてサプライチェーン内のデータを明らかにしようとしてきたが、サプライヤーが情報を提供してくれなかったとのこと。

世界経済フォーラムはサプライチェーンに可視性・透明性を持たせる方法を4つ紹介している。
それは、「1.紙からデジタルへの移行2.サプライヤーのデータプライバシーの確保3. サプライヤーにデータ共有のインセンティブを与えること4.常に有事に備えておく(パンデミックが二度と起こらないと思い込んではいけない)」となっている。

世界経済フォーラムは結論として、サプライチェーン内ですべての関係者が可視性を持ち、データを共有し、効果的にコミュニケーションをとることが極めて重要である。
そして、それを可能にするテクノロジーであろうブロックチェーンは、貿易とサプライチェーンシステムを再構築し、今後数十年の間にサプライチェーンをより耐衝撃性の高いものにする上で重要な役割を果たすことができるとのこと。

編集部のコメント

この記事の中で、サプライチェーンの混乱における具体例を挙げています。イギリスのFiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)は2月中旬に、中国からの部品調達ができないため、セルビアの自動車工場での生産を一時的に停止すると発表しました。

Hyundai(ヒュンダイ)は韓国の工場についても同様の発表をしています。COVID-19以前には、国際航空旅行は貿易貨物を大量に輸送していましたが、新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、その便数は55%減少しています。つまり、いかに中国がグローバルなサプライチェーンの中心的な役割を果たしてきているかが明らかになっているのです。

しかし記事で、サプライヤーの可視性・透明性が不十分であったためサプライチェーンに大きな混乱が走っているのです。中国企業にグローバルメーカーが部品などの供給元を依存していることから、中国企業にブロックチェーン適用させ、可視性・透明性を担保していくことが重要ではないかとあたらしい経済編集部は考えます。

世界経済フォーラムには、ブロックチェーンに焦点を当てたチームが存在していて、サプライチェーンを対象としたブロックチェーンイニシアチブと、サステナビリティのためのトレーサビリティ・プラットフォームを立ち上げました。そのチームが牽引して、世界のサプライチェーンをアップグレートしていって欲しいと思います。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
イメージ:Arkadivna

 

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「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

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