Brave、ポリゴン上で「.brave」ドメイン提供開始、Unstoppable Domainsと提携で

独自オンチェーンのTLD「.brave」公開

プライバシー保護に焦点を当てた次世代分散型ブラウザのブレイブ(Brave)が、主要ブラウザとして初めて独自のオンチェーントップレベルドメイン(TLD)「.brave」を導入したと5月21日に発表した。なお同ドメインは、ブロックチェーンドメインサービスを提供するアンストッパブルドメインズ(Unstoppable Domains)社との提携により実現した。

発表によると「.brave」ドメインは、ポリゴン(Polygon)チェーン上でミントされており、イーサリアム(Ethereum)、ビットコイン(Bitcoin)、ソラナ(Solana)、ベース(Base)など主要なWeb3ネットワークに対応しているとのこと。

ブレイブのユーザーは「.brave」ドメインを利用することで、従来の複雑なウォレットアドレスを用いずに暗号資産(仮想通貨)の送金を行えるほか、IPFSを活用した検閲耐性のある分散型ウェブサイトの公開、セキュアなメッセージの送信、dApp(分散型アプリケーション)へのログイン、NFTバッジの取得などが可能となるという。

なおオンチェーンドメイン上で構築されたWebサイトを閲覧するには、専用のブラウザ拡張機能やミラーリングサービス、またはブレイブのような対応ブラウザが必要となるとのこと。これらのサイトはIPFSなどのP2Pネットワーク上にホストされているため、グーグル(Google)などの検索エンジンには現時点ではインデックスされないという。

また「.brave」ドメインは、ユーザーの暗号資産ウォレットに直接保管され、ブロックチェーン上でミント後は自由に譲渡可能となっている。

これらの機能は、ブレイブナイトリーバージョン1.81(Brave Nightly v1.81)以降に対応しており、ブレイブおよびブレイブ提供のWeb3ウォレット「ブレイブウォレット(Brave Wallet)」上で直接利用できるとのこと。ユーザーは追加の拡張機能を導入することなく、標準機能としてそのまま使用できるという。

さらにアンストッパブルドメインズ社のマイドメイン(My Domains)管理画面からは、310種類以上の暗号資産アドレスを1つの「.brave」ドメイン名に紐づけができ、支払い手続きを大幅に効率化できるとされている。

なおプライバシー保護の観点では、登録者の個人情報はデフォルトでは公開されず、希望する場合にのみ任意で開示できるオプトイン方式が採用されているという。そのため本人が選択しない限り、身元情報が外部に知られることはないとのこと。

商標に関しては、正当な権利を証明できる商標権者が未取得の該当ドメイン名に対して優先取得を申請することが可能である。ただし、すでに購入・ミント(発行)済みのドメイン名については、アンストッパブルドメインズ社も取り戻すことができないとされている。

ブレイブは2021年から「.crypto」や「.nft」などの分散型ドメインに対応してきたが、「.brave」ドメインはその次のステップとして、ブラウザネイティブのデジタルIDレイヤーを実現すると説明されている。

今後、ブレイブとアンストッパブルドメインズ社は「.brave」をアイキャン(ICANN)の一般トップレベルドメイン(gTLD)として2026年の申請ラウンドに登録する方針だという。これにより「.brave」は、従来のDNSとWeb3の両方で利用できるハイブリッドなドメインの実現を目指しているとのこと。

ちなみにアイキャン(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers:ICANN)は、IPアドレスやドメイン名、ポリシーを監督する非営利団体だ。

アンストッパブルドメインとは

アンストッパブルドメインズ社は、ブロックチェーン上の複雑な暗号資産アドレスを、可読性の高いドメイン「アンストッパブルドメイン」に紐づけるサービスを提供している。

ユーザーは「アンストッパブルドメイン」を取得することにより、暗号資産の送金時にアドレスの入力ミスを防げるという。

またアンストッパブルドメインズ社の公式サイト上では、取得した「アンストッパブルドメイン」に紐づけて個人用のWeb3プロフィールページや分散型ウェブサイトを構築することも可能となっている。これらのドメインはNFTとして発行され、ユーザー自身のウォレットに所有されるとのことだ。

なお同社は2022年9月に、ドメインサービスをブレイブに統合している。これにより、ユーザーブレイブ上で自身の「アンストッパブルドメイン」に紐づけた個人ウェブサイトを公開できるようになった。また、他者の「アンストッパブルドメイン」をブレイブのアドレスバーに入力することで、そのユーザーが作成したウェブサイトにもアクセスできるようになった。

参考:アンストッパブルドメインズ
画像:iStock/Ket4up

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

合わせて読みたい記事

【6/20話題】160億件のログイン情報流出か、クラーケンがビットコインステーキング提供など(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

米ナスダック上場LGHL、「HYPE」トレジャリー戦略で6億ドル調達。東証とSGX上場も検討

米証券取引所ナスダック(Nasdaq)上場の金融デリバティブ取引を扱う証券会社ライオングループホールディング(Lion Group Holding:LGHL)が、米投資会社ATWパートナーズ(ATW Partners)から6億ドル(約872億円)のファシリティ(資金調達枠)を確保したと6月18日に発表した