イーサリアム「Pectra」アップグレード、テストネット「Sepolia」に実装

PectraがテストネットSepoliaに実装

イーサリアム(Ethereum)の大型アップグレード「ペクトラ(Pectra)」が、テストネット「セポリア(Sepolia)」に実装された。イーサリアム財団のブログより、コア開発者ティム・ベイコ(Tim Beiko)氏が報告した。

報告によると「セポリア」への「ペクトラ」実装は、当初の予定通りに3月5日7:29(UTC)に完了。エポック「222464」でフォークした。

ただし、今回の実装では「セポリア」の許可型の入金コントラクト(permissioned deposit contract)の問題により、多くの実行レイヤーのクライアントがブロックにトランザクションを含められなかったとのこと。

これについての原因は即座に特定され、クライアントチームは直ちに修正に取り掛かったとのこと。同日14:00(UTC)にはバリデーターに修正プログラムが導入され、ネットワークは通常のスループットに回復したと報告されている。

なお今回の問題は「セポリア」の設定によるもので、メインネットでは発生しない現象であることが強調されている。

なお2月24日21:55(UTC)に実施された、テストネット「ホルスキー(Holesky)」での「セポリア」実装でも、時間内にファイナリティが完了しない問題が発生していた。

「セポリア」への実装は前回の「ホルスキー」に続くもの。今回の「セポリア」での稼働が問題なければテストは完了となり、メインネットへの実装が行われる予定だ。

メインネットの実装日については、「セポリア」実装が順調に進むことを前提に、3月6日に行われる「Ethereum All Core Developers(ACD)コール」にてスロットを決定するとのこと。開発者らは、メインネット実装は4月初旬に行われると予想しているとのことだ。

なお「ペクトラ」の主なアップグレードとして「EIP-7702」と「EIP-7251」の2つの実装がある。

「EIP-7702」は、イーサリアムの共同創業者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が提案したウォレットのユーザー体験を向上させるアップグレードだ。これにより通常のアカウントとして利用されているEOA(外部所有アカウント)を、一時的にスマートコントラクトとして扱える仕組みを導入し、既存のスマートコントラクトに追加の実装を行わずにEOAに様々な機能を導入可能になる。

「EIP-7251」は、バリデーターがステークできる最大量を32ETHから2,048ETHに増加させるというものだ。これにより32ETHよりも大きな額をステーキングしたいユーザーが、これまでのように複数のノードに分割せず、1つのノードで行えるようになる。そのため、新しいノードの構成をする必要があり、数週間の待ち時間が必要とされることもあったステーキングの開始がよりスムーズに行えるようになると予想されている。

参考:イーサリアム財団
画像:iStocks/Foryou13

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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