XRP Ledgerがブロック生成を1時間停止、現在は回復し原因を調査中

XRPLがブロック生成を1時間停止

分散型レイヤー1ブロックチェーン「XRP Ledger(XRPL)」のネットワークが、2月5日にブロック高93,927,173で約1時間ブロック生成を停止した。なお現在では回復しており通常通り利用可能。資産やトランザクションの損失は報告されていない。

リップル(Ripple)社のCTOであるデイビッド・シュワルツ(David Schwartz)氏はXにて、今回の停止の原因について「正確には判明していない」と述べた。同氏によるとコンセンサスは動作していたように見えたが、バリデーションが公開されず、ネットワークが分断してしまった可能性があるという。

またネットワークの復旧過程についてシュワルツ氏は当初、ユニークノードリスト(UNL)のバリデータが、最後に完全に検証されたと見なせる台帳を基準に手動で介入し、そこから検証の公開を再開したことで、他のサーバーもそれを認識し、ネットワーク全体が共通のストリームに戻ることができたのではないかと推測していた。

しかしその後の報告によると、実際に手動で介入したUNLのバリデータは1人のみで、その介入が直接復旧につながったのか、あるいはネットワークが自然に自己回復したのかは不明であるとのこと。

なおUNLとは、信頼できるバリデータのリストのことで、XRPLのコンセンサスプロトコルを支える重要な仕組みとなっている。XRPLでは、ネットワークのUNLバリデータの20%以上が同意しない場合、二重支払いや台帳の不一致などの問題を防ぐために、システムは一時的に停止するという仕組みがある。

今回の停止についてシュワルツ氏は、サーバーが「何か異常がある」と判断し、意図的にバリデーションの送信を拒否したのではないかと推測しており、確実に正しいと判断できない台帳が誤って受け入れられることを防いだ可能性があると述べている。

XRPLの潜在的な障害モードの1つに、すべてのバリデータが「ネットワークに異常がある」と考えてバリデーションを停止し、結果としてネットワークが再収束できなくなる「サイレントネットワーク(silent network)」状態があり、「XRPL」にはこの状態を防ぎ、回復するための安全機構が備わっている。

今回のケースでは、その安全機構が発動した可能性があるが、まだ確定的な結論は出ていないとのこと。

またこの停止で失われた台帳があるかという質問に対し、シュワルツ氏は「インシデント中に作成された暫定的な台帳は通常どおり破棄されたが、過半数の検証を受けた台帳は、一切失われたり影響を受けたりしていない」と答えている。

XRPLは2024年11月にも、ノードクラッシュにより、ネットワークが約10分間トランザクションの処理を停止した。

画像:iStocks/Ilya-Lukichev

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田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
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