韓国大手取引所Upbit、規制当局より新規顧客への営業制限命令受ける=報道

特金法に抵触か

韓国大手暗号資産(仮想通貨)取引所アップビット(Upbit)が、同国の金融規制当局から重い懲戒処分を受けたことが現地紙毎日経済新聞によって1月16日報じられた。

報道によれば、韓国金融委員会(FSC)下の金融情報分析院(FIU)は1月9日、アップビットに特定金融取引情報法違反に関連して新規顧客に対する営業制限を求める制裁を事前通知したという。

この制裁が確定すれば、アップビットは最長で3か月間、新規顧客関連の営業を制限される。しかし既存顧客の取引は制限を受けないとのことだ。

なおアップビットは、1月20日までに今回の処分に対する意見書をFIUに提出できるという。この意見を受けてFIUは1月21日に制裁審を行い、制裁事項を最終確定させる見込みだ。

また韓国の暗号資産業界では、3年ごとに事業者免許更新の審査を受ける必要がある。アップビットは現在審査中であり、今回の制裁措置がどのような影響を与えるか注目されている。

FIUは昨年8月末より、アップビットの事業者免許更新申告申請に対して検査を行っていたという。

この過程で、アップビットがKYCを適切に履行しなかったと見られる事例が70万件発見されたとのことだ。

 「特定金融情報法(特金法)」によると、顧客確認義務違反などに対しては、1件当たり最大1億ウォン以下の罰金が科せられる。

また特金法では申告をしていない暗号資産事業者とは営業を目的に取引ができないよう規定されている。

 アップビットは海外の未登録暗号資産事業者と営業をしており、この部分でも違反があったとして、FIUは制裁を加えたと報じられている。

これに対しアップビットの関係者は、「ブロックチェーン上では事前に海外未登録暗号資産取引所なのか把握しづらく発生したものであり、故意に起きたことではない」との立場をとっているという。

韓国では昨年7月に「暗号資産利用者保護法」が施行された。

同法は暗号資産市場の健全な秩序を確立し、利用者の保護を確保することを目的としたもの。「利用者の預金及び仮想資産を保護すること」、「価格操作などの不公正な取引行為を規制する」、「金融規制当局が暗号資産サービスプロバイダー(VASP)を監督、検査、制裁し、不公正な取引行為を行っている者を調査し、適切な措置を講じる権限を与えること」等が盛り込まれている。

また同法の施行により、韓国金融監督院(FSS)は、VASPが利用者保護の義務を遵守しているか検査する権限が与えられ、FSCにはルール違反者に対して是正命令、業務停止命令、行政罰などの制裁を科す権限が付与されていた。

参考:報道
画像:iStock/Максим-Ивасюк・ntriceight

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