欧州でのUSDT上場廃止は「現時点で予定していない」、米クラーケンが報道後に表明

現時点で上場廃止は予定していないと報告

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所のクラーケン(Kraken)は、欧州市場においてUSDTを、現時点で上場廃止する予定はないという。同社の資産成長・管理事業のグローバルヘッドであるマーク・グリーンベルグ(Mark Greenberg)氏が、Xにて5月19日報告している。なおこのことは、ブルームバーグによる「クラーケンがUSDTを上場廃止することも含め検討している」との報道を受け、報告されたと思われる。

同氏は「明確にしておこう:クラーケンは引き続きヨーロッパでUSDTを上場しており、現時点で上場廃止する予定はない。私たちは当社のヨーロッパの顧客がUSDTへのアクセスを重視していることを認識しており、今後の制度下でUSDTを提供するためのあらゆる選択肢を検討し続けている」とし、「もちろん、私たちは同意できないものも含め、すべての法的要件に従う。しかし、ルールはまだ確定しておらず、私たちはヨーロッパの顧客にすべての関連するステーブルコインを提供し続けるために、できる限りのことを行っている」と報告している。

上場廃止を含む計画検討との報道出ていた

クラーケンは、欧州連合(EU)が今年6月から施行予定の暗号資産市場規制法案(MiCA)に備え、欧州の取引所からUSDTの取り扱いを外すことを含む計画を「積極的に検討」していることが、ブルームバーグにより5月17日報じられていた。

MiCAでは、ステーブルコインの発行体は法令準拠のため顧客資金を裏付けるのに十分な現金を保有し適切な開示を行い、リスクや価格安定化のメカニズム、資産の保管方法などを公開する義務が課せられる。

MiCAにより、EUでは一部のステーブルコインの使用が制限される予定だ。

なおMiCAが定義するステーブルコインは、資産参照型(ART)と電子マネートークン(EMT)に分類される。USDTはEMTに該当。EMTは法定通貨に額面金額で換金可能であることや、EMT発行体は、Emoneyライセンス(電子マネー指令に該当)とMiCAライセンスが必要となるなど、厳しい規制要件を満たすことが義務付けられる。

同社CEOのパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は4月、テザーは今後中期的にMiCAの規則で規制されることは予定していないと、暗号資産関連刊行物のザ・ビックホエール(The Big Whale)に語っていた。

なおテザー社はこのCEOのコメントを引用し、規制当局と継続的に協議していくと述べたという。

規制当局は、2025年初頭までに完全実施される予定のMiCAの技術的ガイダンスの概要をまとめる最終段階にある。

MiCAでは、ステーブルコインや電子マネートークンに適用されるルールは2024年6月30日に発効し、取引所やウォレット等、暗号資産プロバイダーに適用されるルールは2024年12月30日から発効される。

なお海外大手暗号資産取引所OKX(オーケーエックス)は3月、MiCAの施行に備えて、欧州経済領域(EEA)のトレーダー向けに提供していたUSDTの取引ペアのサポートを終了している。

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参考:ブルームバーグ
images:iStocks/Aramyan

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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