アーサーヘイズ、「ビットコイン半減期」前後での暗号資産価格の低迷予想

5月まで取引を控える

暗号資産(仮想通貨)取引所ビットメックス(BitMEX)の共同創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏が、ビットコインの半減期前後である4月後半に、ビットコインを含む暗号資産の価格全般が低迷すると予想している。同氏が4月8日の自身のブログにて考察した。

ヘイズ氏は、「(ビットコインの)半減期は暗号資産の価格にとってプラスであるというシナリオは定着している」とし、「ほとんどの市場参加者が特定の結果に同意する場合、たいていは逆のことが起こるため、ビットコインと暗号資産の価格全般が半減前後に低迷する」と予想している。

ビットコインの半減期とは、ビットコインのブロック生成報酬が半減するイベントのこと。つまりブロックごとに新規発行されるビットコインの量が半分になる。

半減期は約4年に1度発生する。これまでに3回(2012年、2016年、2020年)発生しており、次の4月に迎える半減期では報酬が3.125BTCに減少する。

半減期により新規供給量が減ることは、ビットコインの希少性を高めてインフレを抑え、ビットコイン価格の押し上げに寄与するメカニズムだと考えられており、過去のビットコイン価格は、半減期前後に上昇トレンドを迎え、最高値を更新する値動きを繰り返してきた歴史がある。

通例だと、ビットコイン半減期は暗号資産の価格上昇においてポジティブな働きをするのが一般的だが、今回は米ドルの流動性がひっ迫しているため、暗号資産の売り圧に拍車がかかるとヘイズ氏は指摘した。

ヘイズ氏は、ドルの流動性が米国の納税、米連邦準備制度理事会(FRB)が推し進める量的引き締め(QT)プログラム、財務省一般会計(TGA)の残高に影響を受けていると説明。こういった複合的要因が暗号資産の価格や取引に影響を及ぼすとした。

これらのことからヘイズ氏は、リスク資産にとって不安定な時期は4月1日から5月1日までとし、「もしあなたが、生意気なショート・ポジションを持つ好機を探しているトレーダーなら、4月はその絶好のタイミングだ。5月1日以降は、FRBと米国財務省の悪巧みによる資産インフレという、通常のプログラムに戻る」と述べている。

そのためヘイズ氏は5月までは取引を控えるとし、ソラナ(SOL)、ミームコインである「キャットインザドッグワールド(cat in a dogs world:MEW)」、ユーティリティコインの「ネットマインドチェーントークン(NetMind Chain NetMind Token:NMT)」を利食い(売却)したという。

なおヘイズ氏はその収益を「エテナ(Ethena)のUSDeに入れ、その大きな利回りを得るために賭けた」とのことで、「エテナが登場する前であれば、私はUSDTまたはUSDCを手にしており、テザー社とサークル社が国庫短期証券(T-bill)の利回りを丸ごと獲得している間、何も得られなかっただろう」と述べている。

なおエテナは、ステークされたイーサリアム(ETH)とスワップマージンを使用して利回りを生成する貯蓄債券とデリバティブを担保とするイーサリアムベースのステーブルコイン「USDe」を開発する企業だ。

「USDe」は、オンチェーンでのカストディと決済を行う。同ステーブルコインは、ユーザーが提供する担保を利用し、パーペチュアルスワップを使ってイーサリアムをショートすることで価格エクスポージャーをヘッジし、米ドルとのペッグを維持するとのこと。

なおエテナが昨年実施した600万ドル(約8.3億円)を調達したシードラウンドに、ヘイズ氏は参加している。

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参考:ブログ
images:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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