世界規制当局BCBS、ステーブルコインのエクスポージャーに関する銀行資本規制を見直しへ

基準の見直しへ

世界の銀行規制当局は、銀行がステーブルコインによるリスクを補填するための資本をどのように確保すべきかについて改正の可能性を協議し、一部のグローバル銀行による「容認できない行動」を取り締まると12月7日発表した。

昨年発表された暗号資産へのエクスポージャーを銀行がどのように扱うべきかという基準について、G10(主要10カ国)諸国の中央銀行総裁会議での合意によって創設された機関であるバーゼル銀行監督委員会(BCBS)は見直しを行ったと述べた。

ステーブルコインは通常、通貨によって裏付けされており、BCBSの規則では、ビットコインのような裏付けのない暗号資産よりも負担の軽い資本扱いを受けるが、一部のステーブルコインは、期待されていたよりも安定性が低いことが判明した。

BCBSは、安定化メカニズムを有すると主張する「グループ1b」のステーブルコインについて定めた基準の「的を絞った修正の可能性」について、今月末に協議すると発表した。

BCBSは昨年、低リスクのステーブルコインを確実に識別できるテストがあれば、グループ1bに追加するのに必要な判断基準として追加することができるため、さらなる検討を行うとしていた。

「BCBSはまた、基準の一貫した理解を促進するため、様々な技術的修正について協議する」と声明で述べた。

いわゆるパーミッションレス・ブロックチェーンを使用するような暗号資産には、現時点では十分に軽減できないリスクが生じるため、委員会はこれらのリスクについて現行の取り扱いを維持することで合意した。

BCBSは、銀行が暗号資産のカストディ・サービスを提供することによるリスクを検討し、「追加作業が必要かどうか」引き続き監視する予定だ。

またBCBSは来年、グローバルにシステミックな銀行による「粉飾決算」(特定の報告時に銀行のリスクプロファイルを一時的に低下させようとする「規制の裁定行為」)を阻止するための政策オプションについて協議する予定である。

BCBSは、報告されたデータに基づいて、世界の銀行をリスクに応じてさまざまな「分類(バケット)」に分類しており、これによって銀行がどれだけの追加資本を保有しなければならないかが決定される。

「このような行動は、委員会の基準の意図する政策目的を損ない、金融市場の運営を混乱させるリスクがある」とBCBSは述べた。

関連ニュース

 ※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Global regulators to review bank capital rules for stablecoin exposure
Reporting by Huw Jones; Editing by David Goodman and David Evans
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

カルシ、米国向けにセイネイティブの「SEI」と「USDC」入出金に対応

米予測市場プラットフォームのカルシ(Kalshi)で、レイヤー1ブロックチェーン「セイ(Sei)」のネイティブトークンSEIおよび同ネットワーク上の米ドル建てステーブルコインUSDCの入出金が可能になり、同資産を用いたイベント契約取引の資金移動ができるようになった。Xより12月3日に発表されている

シタデル・セキュリティーズ、トークン化証券とDeFiに取引所・証券会社規制の適用を提言。業界側から反発の声も

米大手マーケットメイカーのシタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)が、トークン化された米国株式を取り扱うDeFi(分散型金融)プロトコルに対しても、取引所およびブローカー・ディーラーとしての規制を適用すべきだとする意見書を米証券取引委員会(SEC)に12月2日に提出した