銀行の暗号資産エクスポージャーの開示義務提案、世界規制当局BCBSが

透明性と市場規律確保のため

バーゼル銀行監督委員会(BCBS)が、銀行による暗号資産エクスポージャーの開示に関するパブリックコンサルテーションを10月17日発表した。なおパブリックコンサルテーションとは、政府から関係団体に告示するとともに、ホームページなどにも掲示し、意見を募集して規制案に反映していくプロセスのこと。

BCBSは2021年6月、既に存在するバーゼル規制に暗号資産(仮想通貨)を反映させる提案を発表。その提案はビットコイン(BTC)やその他の暗号資産へのエクスポージャーを持つ銀行に厳しい自己資本規制を課す内容であった。

その後2022年12月にBCBSは、銀行の暗号資産へのエクスポージャーに対する最終的なプルデンシャル基準に含まれる開示要件である「暗号資産エクスポージャーのプルデンシャル処理(Prudential treatment of cryptoasset exposures)」を公表。BCBSによれば、今回のパブリックコンサルテーションは同開示要件に基づいたものだという。

なおバーゼル銀行監督委員会(BCBS)とは、金融機関を対象とした国際的なルールを協議・決定し、継続的な協力を行うために主要10カ国(G10)諸国の中央銀行総裁会議での合意によって創設された機関だ。

同機関は、日本を含む28の国と地域の中央銀行、銀行監督当局で構成され、スイスのバーゼルに本部を置く国際決済銀行(BIS)の中に事務局を設けている。

銀行に暗号資産関連活動の定量的・定性的情報の開示義務を課す

BCBSは2025年に上記の開示要件を実施する予定。その際に同委員会は、銀行に対し、次の開示義務を課す方針だ。

1つ目は「暗号資産に関連する銀行の活動および分類条件を評価するために使用した手法に関する定性的な情報」、次に「暗号資産へのエクスポージャーに関する定量的情報(会計区分)、および関連する資本要件と流動性要件」だ。

BCBSは、「開示のための共通のフォーマットは、市場規律の行使を支援し、銀行と市場参加者の間の情報の非対称性を低減するのに役立つだろう」と述べている。

またBCBSは今回発表したコンサルテーションに関して、2024年1月までパブリックコメントを受け付けている。コメントは提出者が非公開を希望しない限りBISのウェブサイトにて公表されるとのことだ。

関連ニュース

参考:バーゼル銀行監督委員会
デザイン:一本寿和
images:iStocks/RRice1981・Ninja-Studio

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

パクソス、「Arbitrum One」でステーブルコイン発行へ。イーサL2は初

ステーブルコイン発行会社パクソス(Paxos)が、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2スケーリングソリューション「アービトラムワン(Arbitrum One)」上で、ステーブルコインを発行予定であることを9月10日発表した。パクソスによる「アービトラムワン」対応は初のレイヤー2チェーン展開となる

【9/13話題】DCJPYのディーカレットが63.49億円調達、Swiftがトークン化された証券取引のテスト計画など(音声ニュース)

デジタル通貨「DCJPY」のディーカレット、13社から63.49億円調達。新株主に8社、Swift、トークン化された証券取引のテスト計画を発表、国内ライトニングネットワーク企業Nayuta、事業終了へ、eToroが米SECと和解。ほぼ全ての暗号資産取引を停止へ、コインベース、ラップドビットコイン「cbBTC」をBaseとEthereum上に展開、ロシア、来年7月までに「CBDC」普及目指す計画。中銀が発表、BitGoが「WBTC」をアバランチとBNBチェーンで展開、レイヤーゼロのOFT標準採用で、データ分析会社Nansenがステーキングサービス「Stakewithus」買収、20種類以上の暗号資産に対応、インドネシアの取引所「Indodax」、ハッキング被害で約31億円相当流出

Sponsored

コインベース、ラップドビットコイン「cbBTC」をBaseとEthereum上に展開

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が、ラップドビットコイン「cbBTC(Coinbase Wrapped BTC)」を、ベース(Base)とイーサリアム(Ethereum)上で展開したことを9月12日発表した。なおベースは、コインベースが開発・運営するイーサリアムのレイヤー2ネットワークだ