欧州中央銀行、銀行への暗号資産規制を緩和か

欧州中央銀行、銀行への暗号資産規制を緩和か

欧州中央銀行(ECB)は8月17日、一部の欧州連合(EU)議員が「Wild West(西部開拓時代の無法地帯)」と表現した暗号資産分野で、銀行が十分な資本と専門知識を確保のために暗号資産の提供方法を調和させると発表した。

バイナンス(Binance)やクリプトドットコム(Crypto.com)のようないくつかの暗号資産関連の企業は、マネーロンダリングやテロ資金供与と戦うための国家安全保障に準拠した後、イタリア、フランス、スペイン、ギリシャまたはドイツなどのEU諸国で運営を認可されてきた。これは早ければ2023年から始まる統一されたEUライセンス規則を前にしたものだ。

ECBは、銀行も暗号資産分野に関与するかどうかを検討しているが、各国のルールはかなり広範囲に分かれていると説明した。

ECBは声明で「ドイツでは、特定の暗号資産に関連する経済活動は銀行免許要件の対象であり、現在までにいくつかの銀行がこれらの免許活動を行うための認可を要請している」と記載している。このような背景から、ECBは許認可申請の評価を調和させるための措置を講じているようだ。

ドイツ銀行(Deutsche Bank)、ユニクレディト(UniCredit)、BNPパリバ(BNP Paribas)などユーロ圏の主要金融機関を直接規制するECBは、暗号資産に関連する活動が銀行のリスクプロファイルに沿っているかどうかを調査し、保有すべき資本の額を決定すると伝えている。

ECBは、銀行が暗号資産のリスクを特定・評価できるかどうか、取締役やITスタッフがこの分野で確かな経験を積んでいるかどうかもチェックするという。

またECBは「重要なことは、各国の監督当局と密接に協力しながら、ECBが各国の制度間で慎重な評価の一貫性を高めるよう努めることである」と付け加えた。

スイスのバーゼル委員会では、世界の規制当局が銀行における暗号資産の保有に特定の資本制限を設けるべきかどうかを評価している。またEUは銀行の資本規制法も見直している。

そして欧州議会の緑の党のメンバーであるヴィレ・ニーニスト(Ville Niinisto)氏は、資産に裏付けられていないビットコインやその他の暗号資産の銀行保有額は、銀行のTier1資本の1%を超えてはならないという修正案を提案した。

​​このような上限を法律で定めるには、全議会とEU加盟国の賛同が必要であり、その手続きには時間がかかる。

同氏はまた、規制当局が暗号資産を支えるブロックチェーン技術に特別な資本要件が必要かどうかを評価することも提案している。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
 (Reporting by Huw Jones; Editing by Mark Potter)
翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)

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竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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