スラッシュ、NFTに暗号資産の預入と引出ができる「Slash Vaults」β版リリース

スラッシュが「Slash Vaults」β版リリース

暗号資産(仮想通貨)決済「Slash Payment(スラッシュペイメント)」を開発提供するSlash Fintech Limited(スラッシュフィンテックリミテッド:以下スラッシュ)が、NFTを活用した相互運用性プロトコル「Slash Vaults(スラッシュボールト)」β版の提供開始を7月28日発表した。

なお同プロトコルはスラッシュにおける第2の主力事業とのこと。25日にEthereum(イーサリアム)のGoerli(ゴエリ)テストネット上でローンチしている。

「Slash Vaults」には、NFTをアクセスキーとしたDeposit/Withdraw(預入/引出)機能とTimeLock(時間制限預入)機能が実装されているという。保有や売買を基本としていたNFTに対し、相互運用性プロトコルといった新しい概念とユーティリティを組み込むことで、NFTによる新たな暗号資産決済の実現を目指しているとのことだ。

具体的にDeposit/Withdraw(預入/引出)機能は、主にNFTのエアドロップキャンペーンにおける利活用を目指しているという。その一例として、新しくNFTプロジェクトをはじめるチームが、「Slash Vaults」を利用してNFTにトークンを預入し、エアドロップキャンペーンを行うことができるとのこと。これにより従来とは差別化されたインセンティブを新規ユーザーに提供することができ、NFTをエアドロップされた新規ユーザーは、「Slash Vaults」を利用してNFTからトークンの引出しが可能であると説明されている。

なおDeposit(預入)機能により預入したトークンは「Slash Vaults」上に保管され、NFT保有者しか引出せない仕組みとなっている。Withdrawal(引出)機能を使用する時点のNFT保有者しか引出が実行できないのが特徴とのことだ。そのため預入後にそのNFTを第三者に譲渡したユーザーは、アクセス権がないためトークンを引出すことはできなくなる。

またTimeLock(時間制限預入)機能により、トークンを預入する際にタイムロックを有効にする事で、設定した日付時間までトークンがロックされるとのこと。このトークンのロックはNFT保有者であっても解除できず、NFTが譲渡されたとしてもロックは引き継がれるという。

なお同機能は、スラッシュのトークノミクスである「SVL/veSVLエコシステム」の構築をはじめとして、トークンを保有することによるインセンティブ設計をサポートするという。

SVL(Slash Vision Labs Token)は、スラッシュが発行する予定の独自トークンだ。またveSVLは、SVLを「Slash Vaults」にロックすることで受け取れる予定の譲渡不可能なガバナンストークンとなる予定である。なおveSVLを保有することでスラッシュの事業収益の一部が得られる予定となっている。そのため投資家は、veSVLを得るインセンティブが働くため、SVLを「Slash Vaults」にロックする傾向が想定されるとのこと。またそれによりSVLは売却されづらく価格が下がりにくい仕組みになっているとのことだ。

発表によると今後は、NFTに対して外部から入金/複数入金できる「Airdrop App」や、ネイティブトークンを必要としない「ガスレスPay」機能を実装する「Slash Vaults Pay」、DeFi(分散型金融)サービスへの投資をNFTをアクセスキーにして預入したトークンによって行う「Investment」機能などの提供が予定されているとのことだ。

「あたらしい経済」編集部がスラッシュへ取材したところ「Slash Vaults」のメインネットローンチでは、Ethereum(イーサリアム)に対応するとのことだった。またイーサリアムの次にはPolygon(ポリゴン)が予定されており、それ以降の対応ブロックチェーンについては現状で未定とのことだった。

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参考:スラッシュ
デザイン:一本寿和
images:iStocks/royyimzy・dalebor

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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