米SEC、リップル裁判判決は「間違った判断」と指摘、控訴意志明かす

SECが控訴の意志明かす

米証券取引委員会(SEC)が、リップル裁判の判決を不服とし、控訴を示唆している。7月21日にSECが提出した裁判資料にて明らかとなった。

なお裁判資料は、昨年5月に暴落した暗号資産(仮想通貨)「テラ:Terra(LUNA:ルナ)」と「テラUSD:TerraUSD(UST)」を運営するテラフォームラボ(Terraform Labs)とその創業者ド・クウォン(DoKwon)氏の訴訟関連の提出資料だ。

同資料の中で、SECはリップル裁判の判決には欠陥があると指摘。「裁判所は、リップル社がいわゆる『機関投資家向け販売』、すなわち『書面による契約に従って…特定の取引相手に直接』行ったXRPの販売は、投資契約のオファーと販売であると結論づけた」が、リップル裁判の判決の多くはSECの主張を支持するものであったとした。

SECは、リップル裁判の判決は、プログラムによる販売やその他の販売に関して「ハウィーテスト」に矛盾していると主張。裁判所はこの判断を受け入れるべきではないとし、SECは再審のためにあらゆる手段を検討しており、またその意思があることを強調した。

なお「ハウィーテスト」は、米国において特定の取引が、証券取引の定義の一つである「投資契約」に該当するかどうかを判定するテストである。

SECによれば「リップル社は、機関投資家と個人投資家の期待値を人為的に区別し、ハウィー社の合理的な投資家に関する調査を主観的なものに不適切に変質させた」という。これらのことからSECは「個人向けに販売されるXRPは有価証券ではない」という裁判所の判決は覆されるべきだと考えているようだ。

またSECは、この区別が成り立つならば「ハウィーテストや他の判例の基礎となる論理を根底から覆す」ことになると指摘している。

またSECは「最後に、リップル社の判決の根底にある論理は、ハウィー社やより広範な連邦証券法の背後にある基本原則から切り離されている」と指摘している。

リップル裁判について

リップル裁判は、2020年12月23日にSECがリップル社及び同社CEOのブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏、共同創設者のクリス・ラーセン(Chris Larsen)氏を提訴したことから始まった裁判で、最近まで争われていた。SECはリップル社が2013年からの7年間で有価証券として未登録の暗号資産(仮想通貨)リップル(XRP)を販売し、約13億ドル(※当時のレートで1,300億円超)の資金を得たとして提訴。リップル社はXRPはクロスボーダー決済を促進させるために開発された通貨であると主張し、暗号資産業界と規制当局の間で大きな争点になっていた。

この裁判は、7月13日判決が出ている。判決は「リップル社によるXRPの機関投資家向けの販売スキームは『ハウィーテスト』の条件を満たすため未登録証券募集にあたるが、個人向けに販売されるXRPは有価証券ではない」というもの。これはSECの「リップル社がこれらの機関投資家向け販売で約7億2890万ドル(約1,003億円)のXRPを販売した」という申し立てを一部認めた形となった。

同判決は、暗号資産取引所を通じて販売されたXRPは証券にあたらないことを決定づけるものとなった。そのため、業界では「リップル社の勝利」として祝福の声が上がっていた。

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参考:裁判資料
デザイン:一本寿和
images:iStocks/krblokhin

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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