米下院委員会、公聴会へ向けステーブルコイン法案の草案を公表

ステーブルコインやCBDCに関する法案草案が提出

米下院委員会が、ステーブルコインや中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する提案を含むステーブルコイン法案の草案を公表した。複数メディアが4月16日報じた。

報道によれば、この草案は4月15日に公開され、4月19日の公聴会で議題に上がる予定だという。

なおこの草案は法案の最終版ではない可能性があり、数週間から数カ月にわたり協議されるとのこと。

「ステーブルコイン法案」の草案について

「ステーブルコイン法案」が成立した場合、行われることは次のとおりだ。

・銀行以外が発行したステーブルコインは米国連邦準備制度理事会(FRB)によって管理される

つまりFRBは、現在米国で独自のステーブルコインを発行している(例:サークルやテザー社)、もしくは発行したい銀行以外の企業を承認・規制することになる。

また独自のステーブルコインを発行したい信用組合・銀行は、所属する主な金融規制機関・全米信用組合管理局・連邦預金保険協会・通貨監督庁から承認を得て発行することが可能となる。

なお登録を怠ると、最高5年の禁固刑・100万ドルの罰金、またはその両方が科されるという。米国でビジネスを行おうとする発行者は、会社の所在地に関係なく、登録する必要があるとのことだ。

・法定通貨の裏付けがない新しいステーブルコインを一時的に禁止する

新しい法案には、ハードアセット(現物資産/リアルアセット)に裏打ちされないステーブルコインを2年間禁止することが含まれている。また、そういった「内生的に裏打ちされた」ステーブルコインのトピックに関する研究を財務省に主導するよう指示されている。法案が成立する前にすでに存在していたトークンについては、そのまま引き継がれるこのことだ。

・政府が相互運用性の基準を設定することを認める

銀行規制当局と米国標準技術研究所は、使いやすさを実現するためのステーブルコイン間の相互運用性の基準を設定する権限を持つことになるという。

例えば、ユーザーがそれぞれネイティブのステーブルコインを購入せずとも、異なる決済システム間で決済できるようにするための必須の技術的・法的仕様などが基準として設定されることになる。

・議会と大統領がFRBにデジタルドルの研究を指令する

議会と大統領は、FRBに対し、中央銀行が発行するデジタルドル(CBDC)の影響を調査するよう指示する予定だ。FRBはすでにデジタルドルを発行するかの検討を始めているが、この法案では、金融政策・金融の安定性・個人のプライバシーへの影響の可能性など、特定の分野に焦点を当てることが義務づけられるという。

なおFRBのリーダーらはデジタルドルについて複雑な見解を示している。リアルタイム決済システム「FedNow」が7月に稼働予定であり、デジタル通貨と同様の高速決済が可能だが、中央銀行のデジタル通貨よりも伝統的な金融基盤を使用する予定だ。

ステーブルコインに関する昨今の動き

この草案提出は、昨今のステーブルコインに関する一連の事件が影響しているとみられる。

昨年5月には、アルゴリズム担保型米ドルステーブルコイン「テラUSD:TerraUSD(UST)」の1USD=1USTのペッグが崩壊し暴落。また今年3月には破綻したシリコンバレー銀行にサークル社が預金していたことで不安が広がり、一時USDCがデペグする事態も発生していた。

なお昨年4月、暗号資産擁護派の共和党のパット・トゥーミー(Pat Toomey)元上院議員がステーブルコイン規制の枠組みを示した法案を提出していた。

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参考:草案
デザイン:一本寿和
images:iStock/gorodenkoff

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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