「初めてインターネットに触れた時と同じ感覚」ビットバンクCEO廣末紀之がビットコインに惚れ込んだ理由/廣末紀之インタビュー(1)

「電気自動車」の衝撃、そしてカーシェア事業の立ち上げ

その後は知人がやっている、スマートフォンアプリ・オンラインゲームの開発企業のガーラという会社の経営再建を2年間担当しました。そしてその任務を全うしたタイミングの2008年に「車を電気で動かした奴がいるらしい」という話を聞きました。

イーロンマスクがCEOに就く前のテスラの話でした。私はそれに衝撃を受け、自動車の「電気化」や「通信化」という大きなトレンドがこれから来るはずだと思いました。

そんな中、ネットエイジの西川潔さんと現ヤフーの小澤隆生さんと一緒に、電気自動車の製造販売を行うことを目的とする企画会社であるサステナ・エレクトリック・ヴィークルという会社を作りました。

電気自動車の時代が来た場合、自動車が基幹産業である日本では電気自動車の専業会社が必要だろうと思ったのが理由です。

そしてイギリスの自動車メーカーや韓国のバッテリー会社などに視察に行き、どのような形でやれば電気自動車を作れるかというのは分かったのですが、いざ製造しようとする時には、最低100台のロットで30億円くらいのお金がないとできないということが判明しました。

さらに、その資金調達が厳しいと思っていた頃にリーマン・ショックが発生し、資金調達の環境が最悪の状況となってしまいました。特にベンチャー企業としてやる私たちにとっては負荷が大きく、残念ながらその事業を断念せざるを得ませんでした。

そこで、チャレンジしていた「自動車の電気化」が無理であれば「自動車の通信化」をテーマに事業をしようと思い、世田谷の三軒茶屋でコミューカというブランドに変えてカーシェア事業を始めました。

車が通信化する時代だから、細かい単位で課金ができるはずだと思い、10分単位300円から乗れるお気軽レンタカーというキャッチコピーで出したところ、当時かなり話題になりました。

しかし、人気になったタイミングで、恐れていたパーク24のカーシェアリングへの参入が始まったんです。

事業構造的に、土地を持っている事業者に私たちが勝てるはずもなく、万が一、パーク24のような土地を持っている企業が参入してくる場合は、即、撤退しようと事業開始前から決めていました。パーク24の参入をもって、「もはや勝負あり」と考え、三井物産に事業売却をして、この事業にも終止符を打ちました。

インターネットを触れた時と同じ感動を覚え、ビットコインに没頭

ビットコインとの出会いはいつ頃だったのですか?

2012年頃です。日頃からインターネットビジネスや経営に携わっているので、常に新しい技術や社会動向に関心があるのですが、ある時、偶然、ビットコインと言う単語を目にしました。
それまでもデジタルマネーのようなものは出てきては消えて行っていたので、ビットコインもそのような感じだろうとはじめは思っていました。

とはいえ、どんな技術でも、ある程度の理解が必要なので、ビットコインの構造を調べていたら、「ブロックチェーン」「PoW」「マイニング」などの知らない言葉が出てきました。調べても文献が出てこず、一番語られているのがアメリカ版2ちゃんの「Reddit」というサイトで、そこのスレッドをチェックして勉強しました。

ビットコインの全体像が見えたのは勉強し始めて半年くらい経った時だったのですが、感激しましたね。「お金のインターネット」の原型だと感じたんです。もしこの仕組みがきちっと動くと証明されれば、銀行や証券などの中間業者が必要なくなり、大変革が起こると直感しました。

まさに、インターネットに触れた時と同じような感動を覚えたんです

それ以来どっぷりとビットコインにハマって、関連情報を追いかけて人に会い始めました。当時、世界最大のビットコイン取引所マウントゴックスが渋谷にあった理由で、渋谷にビットコインマニアが集う、ほとんどが外国人のコミュニティがありました。マウントゴックスのCEOだったマーク・カルプレス、ビットコイン関連スタートアップのエンジェル投資家であるロジャー・バー、そしてBinance CEOのCZ(Changpeng Zhao)などがいました。

彼らのコミュニティに私も入り浸っていて、1杯のビールを6時間かけて飲みながら「ビットコインはすごいよね」と語り合っていました。

その場所は、以前インターネット前夜に堀江さん、三木谷さん、熊谷さんなどが渋谷に集まってインターネットについて語り合っていた「ビットバレー」の再来のような感じがしました

そのような熱狂の中、2014年にマークが率いるマウントゴックスが大事故を起こしてしまいます。世間は大騒動になり、社会の風潮が「ビットコインは詐欺だ」という方向に流れて行きました。

しかし私はビットコインの仕組みを理解していて、この事件はビットコインのせいではないということも理解していました。むしろ、そのような混乱の最中でも、正確に動くブロックチェーンをみて、ビットコインのネットワークの強さをこの事件でさらに確信したくらいです。

スタートアップ的な視点でいうと、「他の人が知らない真実を知っている」状態で、大チャンスでした。超優良株が、風評で叩き売られている状態ですね。みんなビットコインのポテンシャルや技術の中身を理解していないし、私は金融業界での一定の経験があるので、これは自分にとっては千載一遇のチャンスだと思いました。

2014年5月にビットコインバンク構想というものを作って、仮想通貨関連事業を主業とする「ビットバンク」を設立しました。

あれから4年間やってきて、認知がだいぶ進み、情報の非対称性が埋まってきたと思います。ただ、個人的にはこの分野にまだまだ伸び代はあると思っています。

(つづく)

つづきのインタビュー第2回はこちら「本当の革命はパブリックな仮想通貨」ビットバンクCEO廣末紀之が見据える仮想通貨の将来/廣末紀之インタビュー(2)

(編集:飯田諒

この記事の著者

廣末 紀之

ビットバンク株式会社 代表取締役社長 執行役員 CEO
野村證券にてキャリアをスタートさせ、その後スタートアップ経営に長年携わる。
GMOインターネット株式会社常務取締役、株式会社ガーラ代表取締役、コミューカ株式会社代表取締役などを歴任。
その後、ビットバンクを創業。

ビットバンク株式会社 代表取締役社長 執行役員 CEO
野村證券にてキャリアをスタートさせ、その後スタートアップ経営に長年携わる。
GMOインターネット株式会社常務取締役、株式会社ガーラ代表取締役、コミューカ株式会社代表取締役などを歴任。
その後、ビットバンクを創業。

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