フランスとスイスの中銀、CBDCクロスボーダー決済実験に成功

フランスとスイス間でCBDCクロスボーダー決済実験

仏中央銀行であるフランス銀行(BdF)と、スイスの中央銀行であるスイス国立銀行(SNB)および国際決済銀行(BIS)のイノベーション・ハブが、クロスボーダー(国際間取引)における法人向けの中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実験に成功したことを12月8日発表した。

この取り組み「プロジェクト・ジュラ(Project Jura)」では分散型台帳技術(DLT)に対応したプラットフォームを用いて、トークン化されたデジタル資産をホールセール型中央銀行デジタル通貨(wCBDC)としてクロスボーダー決済を行う試みだ。

具体的には、フランスの規制に基づき発行された、トークン化コマーシャルペーパー(無担保の約束手形)とユーロのwCBDCによるDvP(証券の引き渡しと代金の支払い)を行い、またユーロのwCBDCとスイスフランのwCBDCによるPvP決済(多通貨同時決済)を行ったとのこと。これらの取引はフランスとスイスに所在する銀行間にて決済が行われたとのことだ。

なお「プロジェクト・ジュラ」は官民の共同プロジェクトであり、アクセンチュア(Accentur)を中心に投資銀行であるクレディ・スイス(Credit Suisse)や仏ナティクシス(Natixis)の他、スイスのUBSやデジタル資産取引サービス提供のシックス・デジタル・エクスチェンジ(SIX Digital Exchange:SDX)、米R3が参加している。なおこのプロジェクトのプラットフォームのブロックチェーン技術にはR3開発のエンタープライズ向けブロックチェーン「コルダ(corda)」が採用されている。

関連ニュース

フランスとシンガポールの中銀、CBDCクロスボーダー決済実験に成功 

参考:SIX
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Ninja-Studio・Oleksii-Liskonih

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

米DTCC子会社DTC、SECからノーアクションレター取得。規制下のトークン化サービス検証へ

米国の金融市場インフラを担うデポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション(Depository Trust & Clearing Corporation:DTCC)が、子会社であるデポジトリー・トラスト・カンパニー(Depository Trust Company:DTC)について、米証券取引委員会(SEC)の取引市場部門スタッフからノーアクションレターを取得したと12月11日に発表した

スーパーステートがトークン化株式の直接発行プログラム公開、ソラナとイーサリアムに対応

金融テクノロジー企業のスーパーステート(Superstate)は、イーサリアム(Ethereum)とソラナ(Solana)のブロックチェーン上でトークン化された株式を、米SEC(証券取引委員会)登録の公開企業(上場企業を含む)が直接発行できる新プログラム「ダイレクト・イシュアンス・プログラム(Direct Issuance Programs)」を12月10日に発表した