「NFTの次のヒットは音楽業界から生まれるだろう」、エルトンジョンやビヨンセの元マネージャー語る   

「NFTの次のヒットは音楽業界から生まれるだろう」

かつてエルトン・ジョン(Elton John)、ビヨンセ(Beyonce)、ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N’ Roses)のマネージャーを勤めたメルク・メルキュリアディス(Merck Mercuriadis)氏は、ミュージシャンの才能を見抜く目とトレンドを見極めることに長けている。

そしてSpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスが主流である中、メルキュリアディス氏は「ヒプノシス・ソングス・ファンド(Hipgnosis Songs Fund)」を設立し、いくつか音楽の権利を獲得している。

2018年に上場したこのファンドは、ティンバランド(Timbaland)、フリートウッド・マックのリンジー・バッキンガム(Fleetwood Mac’s Lindsey Buckingham)、ザ・プリテンダーズのクリッシー・ハインド( The Pretenders’ Chrissie Hynde)、リック・ジェームス(Rick James)、ニール・ヤング(Neil Young)などのヒットメーカーの64000曲の権利を獲得し、25億ドルを投資している。

現在、メルキュリアディス氏は音楽業界に革新をもたらすであろう新技術のNFTに注目している。

メルキュリアディス氏は、コンピュータのネットワーク上で取引の台帳を管理するブロックチェーンは、音楽ロイヤリティに新たなレベルの透明性をもたらすことができると考えている。

メルキュリアディス氏は「Reuters Next」カンファレンスでのインタビューで「ナイル・ロジャースのように、40年間にわたって信じられないほどのヒット曲を生み出してきた人が、今後は半年ごとにソニーから10,000ページにも及ぶマイクロトランザクションの明細書を受け取ることになります。将来、NFTとブロックチェーンを使えば、その何十億もの取引がリアルタイムで戻ってくるようになるでしょう」と答えた。

さらにメルキュリアディス氏は「またNFTは、音楽ファンにとって、コンサートで販売される従来のツアーブックと同じ価格で、音楽やビデオなどの新しいタイプのコレクターズアイテムを提供することができるでしょう。NFTがもたらす、より魅力的な体験は未来の重要な要素です」と答えている。

そして現在、メルキュリアディス氏はより迅速に確実で予測可能な収益をもたらす「アセットクラス」としての楽曲の確立に注力している。

グラミー賞受賞歴のあるシンガーソングライターであり、レコードプロデューサー兼ヒプノシス・ソングス・ファンドの顧問であるナイル・ロジャース(Nile Rodgerrs)氏は「パンデミックが発生したことで、メルクがこれらの楽曲を信頼性の高い資産として位置づけていたことが証明されました」と答えている。

そしてこの投資機会は、Investec Wealth & Investment、Aviva Investors、Church of Englandなどの機関投資家を魅了した。

メルキュリアディス氏によれば、「ヒプノシス・ソングス・ファンド」はヒット曲のコレクションを管理し、市場外取引を発見し、Peloton、TikTok、Roblox といった新しいプラットフォームを活用することで、従来の音楽出版社よりも優れた仕事ができているとのこと。

新たなパートナーである資産運用企業のBlackstoneは、音楽著作権の購入に10億ドルを投資することを約束しており、「ヒプノシス・ソングス・ファンド」が楽曲管理のアプローチをさらに洗練させるのに役立つだろう。

最後に、メルキュリアディス氏は「音楽業界は私が記憶している限り、まだ洗練されていない業界です。これからは、もっともっと洗練されたものになっていくでしょう」と伝えた。

 (Reporting by Dawn Chmielewski. Editing by Gerry Doyle)

翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
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竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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