スイ、ステーブルコイン送金無料化へ。プライベートトランザクションも導入予定

ミステンラボCPOがスイへの複数機能導入を発表

レイヤー1ブロックチェーン「スイ(Sui)」が、ステーブルコイン送金無料化機能およびプライベートトランザクション機能を導入予定だ。ミステン・ラボ(Mysten Labs)の共同創業者兼最高プロダクト責任者アデニイ・アビオドゥン(Adeniyi Abiodun)氏が、5月7日に開催された発表会イベント「スイライブ(Sui Live)」で説明した。

同氏によると、スイでは複数のステーブルコインを手数料無料で送金可能になるという。対象にはサークル(Circle)が発行するドル連動型ステーブルコイン「USDC」や今年3月にローンチされたスイ向けネイティブステーブルコイン「スイドル(Sui Dollar:USDsui)」などが含まれるとのことだ。

また同氏は、この機能について「すでに本番コードは完成しており、メインネットへ近日中に導入予定」と説明している。

同氏の発表によると、現在のブロックチェーンでは、ガス代(手数料)やネットワーク混雑時の優先手数料などが、決済利用時の課題として指摘されている。特に少額決済やリアルタイム送金では、手数料負担が普及の障壁となるケースも多いとのこと。

こうした中アビオドゥン氏は、「お金の移動をメッセージ送信と同じくらい簡単にすること」がスイの開発の原点だと説明した。そのうえで同氏は、今後はAIエージェント同士が自律的に経済活動を行う時代が到来するとし、大量かつ低コストな送金基盤の重要性を強調した。

また同氏は、プライバシー機能についても同日発表した。同機能では、パブリックチェーン上で取引情報を暗号化し、ユーザーの取引履歴などを秘匿できるようにするという。

同氏は、「5ドル(約789円)を支払った相手から、自分の過去の銀行履歴すべてを見られるようなものだ」と述べ、現在のパブリックチェーンにおける取引透明性のあり方に課題意識を示した。

さらに同氏は、「プライバシーのない暗号資産(仮想通貨)は、本当の意味で暗号資産ではない」とも説明している。

今回発表されたプライバシー機能は、ウォレットや取引所、サービスプロバイダーを含めて提供される予定とのこと。まずはステーブルコインから対応し、将来的には株式や債券、現実資産(RWA)などへの拡張も視野に入れているという。

なお同氏は、今回のプライバシー機能について、完全匿名型ではなく「選択的開示(Selective Disclosure)」を重視した設計であることも説明した。必要に応じて、監査やコンプライアンス対応、取引先確認などへ情報を開示できる仕組みを想定しているという。

また同イベントでは、AIエージェント向け決済機能「ペイメント・インテント(Payment Intents)」も発表された。同機能は、複数のサービスやアプリケーションをまたいだ処理を1回の操作でまとめて実行できる仕組みだ。

同氏によると、AIエージェントが最適な価格や送金ルートを探索し、複数サービス間の決済や取引をアトミック(同時実行)に処理できるようになるという。

また同氏は、スイが単一アカウントで20,000TPS規模の処理性能を持つとも説明した。AIエージェント時代では、大量の小額決済やリアルタイム取引が発生するとし、既存ブロックチェーンとの設計思想の違いを強調している。

なお同イベントではこのほかにも、関係者からステーブルコインやAIエージェント、RWA関連の取り組みが多数発表された。

AIエージェント関連では、エージェント向け金融基盤「ビープ(Beep)」が、決済・利回り・取引市場を横断してAIエージェントが資産運用を行う構想を発表している。

RWA領域では、オープンアセッツ(OpenAssets)やフィデリティ(Fidelity)らが、100兆ドル(約1京5,774兆円)規模の伝統金融資産が、今後5年間でオンチェーンへ移行する可能性について言及した。

さらに、スイ基盤の流動性レイヤープロトコル「ディープブック(DeepBook)」では、予測市場機能「ディープブック・プレディクト(DeepBook Predict)」のテストネット公開も発表された。

そのほか、グローバルハッカソン「スイ・オーバーフロー2026(Sui Overflow 2026)」の開催および詳細も発表されている。

参考:スイライブ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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