米上院、暗号資産規制法案「クラリティ法」を5/14に審議へ

銀行業界と暗号資産企業の対立打開なるか

米上院議員らは、暗号資産(仮想通貨)に関する規制枠組みを整備する待望の法案を、5月14日に審議する見通しだ。同法案を巡っては、暗号資産企業と米銀行業界が対立してきたが、今回の審議により膠着状態が解消される可能性がある。

「クラリティ法(Clarity Act)」と呼ばれる同法案は、成立すれば、急成長する同分野に対する金融規制当局の管轄を明確化するもので、デジタル資産の普及を後押しする可能性がある。

米上院銀行委員会の委員長を務めるティム・スコット(Tim Scott)上院議員は5月8日、同委員会が5月14日10:30(グリニッジ標準時14:30)に、ワシントンDCのダークセン上院議員会館でエグゼクティブセッションを開くと発表した。

暗号資産業界は同法案の成立を求めてきた。業界は、同法案が米国におけるデジタル資産の将来にとって不可欠であり、暗号資産企業が長年抱えてきた根本的な問題を解決するために必要だと主張している。法案は、暗号資産トークンがどのような場合に証券、商品、またはそれ以外に分類されるのかを定義するなど、業界に法的明確性を与える内容となっている。

同法案には、暗号資産企業と銀行業界のあいだで激しい争点となっていた問題の解決を目指す条項も含まれている。共和党のトム・ティリス(Thom Tillis)上院議員と民主党のアンジェラ・アルソブルックス(Angela Alsobrooks)上院議員が仲介した妥協案では、ステーブルコインについて、利用されていない保有残高に対する顧客向け報酬の提供が禁止される。これは、そうした報酬が銀行預金に似ているためだ。

一方で、ステーブルコインに関連するその他の活動、たとえば決済の送信などに対する報酬は認められる。銀行業界団体はこの条項に反発しており、暗号資産企業に過度な裁量を与え、規制された銀行システムから預金が流出する可能性があると主張している。

銀行側は、公聴会を前に、上院銀行委員会の共和党議員の一部から支持を引きはがそうと最後の働きかけを行っている。ただし、それが成功するかは不透明だ。5月10日には、米国銀行協会(American Bankers Association:ABA)のCEOが加盟銀行のCEO宛てに書簡を送り、修正を求めるため上院議員に連絡するよう促した。同氏は、変更がなければ、この条項が経済的リスクを生む可能性があると主張している。

銀行業界のロビイストらは、2025年に成立した法律に由来する「抜け穴」を塞ぐため、クラリティ法で修正を求めてきた。その法律は、仲介業者がステーブルコインに対して利息を支払うことを認めているという。銀行側は、これにより預金保険のある銀行システムから預金が流出し、金融安定を脅かす可能性があると主張している。

一方、暗号資産企業は、暗号資産取引所などの第三者がステーブルコインに利息を支払うことを禁止すれば、反競争的だと主張している。

暗号資産業界は、民主党が下院の支配権を奪還する可能性がある11月の中間選挙の前、今後数カ月以内にクラリティ法が可決されることを望んでいる。

下院は2025年7月、クラリティ法の下院版を可決した。ただし、同法案をドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の署名に送るには、上院が2026年末までに同法案を可決する必要がある。

多くの議会民主党議員は、同法案に反対してきた。反対派は、同法案のマネーロンダリング対策規定が弱すぎるほか、政治家が暗号資産事業から利益を得ることを防ぐための措置をさらに盛り込むべきだと主張している。

同法案が承認されるには、上院本会議で少なくとも7人の民主党議員の支持を得る必要がある。

トランプ大統領は、自身を「暗号資産大統領」にすると約束し、業界からの資金支援を取り込んできた。また、同氏の一族による暗号資産事業も、この分野を主流化する後押しとなっている。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
US Senate Committee set to consider long-awaited crypto bill this week
(Reporting by Hannah Lang in New York; Additional reporting by Carlos Méndez in Mexico City; Editing by Tom Hogue)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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