決済プロトコル「x402」の最新版が提供開始、AIエージェント向け支払いを拡張

x402が最新版を発表

決済プロトコル「x402」の開発チームが、同プロトコルの最新版「x402 V2」の提供開始を12月11日に発表した。

x402は、インターネット上でAPIやAIエージェントが都度の契約や請求処理を介さずに支払いを行うことを想定したオープンソースの決済プロトコルだ。API利用料やデータ、計算資源などの対価を、通信の流れの中で直接決済する仕組みを目指し2025年5月に公開された。

開発チームによると、x402は公開から約6か月間で、API呼び出しやAIエージェントによる取引などを通じて、1億件超の決済を処理してきたという。今回のV2は、こうした実運用の実績とコミュニティからのフィードバックを踏まえたアップデートとなる。

今回のx402 V2では、従来の「単一リクエストごとに支払う」決済モデルから、継続的な利用を前提とした支払いモデルへの対応を進めた。ウォレットベースのアイデンティティ機能を導入することで、一度購入したAPIやリソースに再度アクセスする際に、毎回決済処理を行う必要がない設計としている。これにより、サブスクリプション型やセッション型の利用形態も想定されている。

また支払いの受取先を状況に応じて変更できる設計へと拡張した。リクエストごとに受取先を切り替えられる仕組みにより、複数の事業者が関与するマーケットプレイス型サービスや、マルチテナント型APIでの利用を想定している。

あわせてx402対応サービスの情報を自動的に取得する仕組みを導入した。これにより価格やエンドポイントといった情報を人手で管理する前提から、エコシステム全体が自律的に同期する設計へと舵を切った。

決済手段については、特定のブロックチェーンに依存しない設計を採用し複数のブロックチェーン上のトークンや法定通貨決済にも同一の枠組みで対応できるとしている。開発チームはこれによりx402を特定のネットワークに閉じない共通の決済レイヤーとして位置づけている。

またx402 V2は従来のV1と後方互換性を維持しており、既存のV1対応アプリケーションは引き続き利用可能だという。

今回のアップデートは、提案仕様に対する2週間のコミュニティフィードバック期間を経て実装された。開発チームは今後、プロトコルの運営を担う独立組織「x402財団(x402 Foundation)」を立ち上げる予定であることも明らかにしている。

参考:x402
画像:PIXTA

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あたらしい経済 編集部

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これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

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