米コインベース、AIエージェント向け決済ツール「Payments MCP」正式版を提供開始

コインベースがPayments MCPを正式リリース

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が、AIエージェント向けの決済ツール「ペイメントMCP(Payments MCP)」の正式提供を開始したと10月23日に発表した。

同ツールは、9月に発表された開発者向けベータ版の拡張版にあたるもの。今回のリリースではクロード(Claude)、ジェミニ(Gemini)、コーデックス(Codex)など複数の大規模言語モデル(LLM)に対応した。

ペイメントMCPは、AIエージェントがオンチェーン上でウォレットの作成、ステーブルコインによる支払い、資産管理などを自律的に行えるようにするツールだ。利用者はメールアドレスのみでウォレットを生成でき、コードを記述せずにエージェントの支出上限や権限を管理することが可能となっている。

同ツールは、HTTPの未使用ステータスコード「402ペイメント・リクワイアド(402 Payment Required)」を活用したオープンな決済プロトコル「x402」との連携を前提として設計されている。これにより、AIエージェントはAPIリクエスト内で直接支払いを実行できるようになり、従来のサブスクリプションモデルや手動チェックアウトを必要とせずにオンデマンド決済を行うことができる。

また、今回の正式版では「x402バザール・エクスプローラー(x402 Bazaar Explorer)」が統合されており、エージェントが支払い可能なAPIや外部サービスをUI上で探索できるようになった。さらにオンランプ機能(法定通貨から暗号資産への変換)やゲストチェックアウト機能にも対応しており、対応地域ではエージェントが即時に取引を開始できる。

コインベースは公式ブログで「AIエージェントが人間と同じように経済活動を行うための基盤を構築することが目的」としており、同ツールによりエージェントがコンピューティングリソースの支払い、有料データへのアクセス、クリエイターへのチップ送金などを自律的に行えるようになると説明している。

同社は2023年に、AIエージェントと外部サービスの連携を想定した開発ツール「エージェントキット(AgentKit)」を公開していた。今回のペイメントMCPは、その発展版にあたるものとされる。エージェントキットが限定的な開発環境での利用にとどまっていたのに対し、ペイメントMCPは広範なLLM環境に対応し、実用レベルでの導入が可能となった。

参考:コインベース
画像:iStocks/metamorworks

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