IG証券、暗号資産ETFのCFD提供を終了。金融庁の見解受け

IG証券が約1か月半で暗号資産ETFのCFD提供終了

英金融サービスプロバイダーIGグループの日本拠点であるIG証券が、暗号資産(仮想通貨)ETFを原資産とするCFD取引(差金決済取引)の提供を終了すると11月17日に発表した。

IG証券は、米ブラックロック(BlackRock)が運用するビットコイン現物ETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」およびイーサリアム現物ETF「iシェアーズ・イーサリアム・トラスト(ETHA)」を原資産とするCFD取引を9月30日に提供開始したばかりだった。CFD取引は実際にETFを保有せず、価格差のみをやり取りする仕組みだ。同社では最大5倍のレバレッジが利用できるとしていた。

しかし、金融庁が10月31日に公表した「金融商品取引業等に関するQ&A」の改訂版において、「海外で組成された暗号資産ETFを原資産とするデリバティブ商品について投資者保護の観点から望ましくない」との見解が示された。今回の取扱い終了は、これを受け決定された。

同社によると、12月1日から新規建て注文の受付を停止し、2026年1月31日の取引終了時点で残存ポジションを強制決済するという。既存の保有者については、期限までに自主的に決済するよう呼びかけられている。

また税制面でも整理が進んだ。金融庁の見解を受け同社が税務当局に課税上の取扱いについて確認したところ、当該暗号資産ETFのCFD取引は総合課税の対象となる旨の回答を得たとのこと。取引の提供開始後にIG証券が、同取引にて生じた所得について、「分離課税の対象となる」と問い合わせに対して回答したとの情報もあり、FXやCFDと同様に申告分離課税(20.315%)が適用される可能性が一部で指摘されていた。

暗号資産ETFを原資産としたデリバティブ取引が開始から約1か月半で終了することとなり、日本国内では暗号資産ETFに関連する商品の取り扱いが依然として制度整備途上にある状況が浮き彫りになった。金融庁は現時点で暗号資産ETFそのものの国内組成・販売を認めておらず、今後の市場環境は規制枠組みの整備次第となる見通しだ。

参考:IG証券
画像:iStocks/berya113

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