アリババの越境EC部門、AIサブスクとトークン化決済を検討。JPモルガンと連携の可能性も=報道

アリババドットコムがAI検索を有料化へ

中国IT大手アリババ(Alibaba)の越境EC事業部門アリババドットコム(Alibaba.com)が、AI機能を活用したサブスクリプションサービスおよびトークン化された決済手段の導入計画があることを11月14日に「CNBC」が報じた。

同事業部門は、海外企業とサプライヤーを繋ぐB2Bマーケットプレイスを展開しており、2024年度の売上高は30億ドル(約4,800億円)を超えたとされる。今回の発表は、AIを活用した事業強化およびグローバル決済効率化に向けた取り組みの一環だという。

まずアリババドットコムは、AIによる高度検索機能「AIモード」を有料サブスクリプションとして提供する計画を示した。ユーザーは価格、物流、製造能力など複数条件を横断してサプライヤーを比較検索できる。料金は月額20ドルまたは年額99ドル程度になる見通しで詳細は未確定とのこと。

また同社は、国際決済におけるコスト削減と迅速化を目的として「トークン化された支払い」の導入を検討しているという。具体的にはユーロおよび米ドル建ての「トークン化預金」を利用することで、複数の銀行や清算プロセスを経ずに支払いを完了できる仕組みを想定している。

CNBCの取材に対しアリババドットコムのクオ・チャン(Kuo Zhang)CEOは、この取り組みで米大手金融機関JPモルガン(JPMorgan)と連携する可能性を示した。JPモルガンは今年、企業間決済向けのトークン化決済ネットワーク「JPMD」を発表している。

取引契約についても自動化が検討されており、今年12月にローンチ予定の「Agentic Pay(エージェント決済)」機能では、メッセージ上のやりとりをAIが解析し、自動的に売買契約書を生成するプロセスが導入される予定だという。

アリババドットコムは現在中国以外のサプライヤー比率を増加させており、今年3月〜10月の期間で海外サプライヤー数は前年比50%増となったとされる。同社は「AIとトークン化を活用することでグローバル取引の効率を根本的に変革できる」と述べている。

なおトークン化預金は金融機関による取り組みが世界的に進んでいる。10月には米大手カストディ銀行バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNY)が、決済インフラ近代化の一環としてトークン化預金の導入検討を進めていることが報じられた。

また11月にはシンガポールのDBS銀行と米JPモルガン傘下のキネクシス(Kinexys)が、異なるブロックチェーン間でトークン化預金を送金できる相互運用フレームワークの開発に着手したと発表している。

参考:CNBC
画像:PIXTA

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