JPXが暗号資産トレジャリー企業の規制強化を検討か
東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)が、暗号資産(仮想通貨)の保有・投資を行う暗号資産トレジャリー企業の規制強化を検討していると、「ブルームバーグ(Bloomberg)」が関係者からの情報として11月13日に報じた。
なおJPXは、この報道に関する声明を同日に出している。詳細はこの記事の下部に追記している(11.14 18:00追記)
報道によるとJPXが検討するのは、バックドア・リスティング(裏口上場)の防止を目的とした「不適当な合併など」に対するルールの厳格化や、新たな監査の義務化などとのことだ。
なお今回の規制強化の検討は、国内の暗号資産トレジャリー企業の株価が急落し、個人投資家が損失を被ったことを受けてのものだという。
例えば、国内上場企業で最もビットコインを保有するメタプラネットは、2024年にビットコインの投資事業を開始し、今年6月に株価は過去最高値の1,895円を記録した。しかし11月12日の終値は425円となっている。
JPXの担当者は、暗号資産への投資や保有について一律の規制は設けられていないが、株主・投資家保護の観点から、リスクやガバナンスの点で懸念がある企業には引き続き点検をしていくと、ブルームバーグへ語ったとのことだ。
ちなみにこの報道に対し、メタプラネットの代表取締役社長のサイモン・ゲロヴィッチ(Simon Gerovich)氏は同日、自社のガバナンス体制について説明する投稿をXより出している。
同氏によるとメタプラネットは、この約2年で5回の株主総会を開催し、事業目的をビットコイン・トレジャリー事業へ改めるための定款変更、ビットコイン取得に充当するための授権株式数の増加、新たな種類株式(優先株式)の授権など、すべての重要な事項について株主の承認を経て進めてきたと説明。
そしてこれらのプロセスが、事業転換前から継続する経営陣の下で、一貫して適正な手続に基づき実施されているとした。ゲロヴィッチ氏は、「メタプラネットにおいて、コーポレートガバナンスはすべての意思決定の基盤です」とし、自社がこれまで公正かつ透明なガバナンス体制をとっていることを示した。
※以下、2025.11.14 12:00追記
またJPXは今回の報道をうけ、声明を発表した。
同社は、「東京証券取引所が暗号資産トレジャリー企業の規制強化の検討は、現時点で具体的に決まっている方針はない」とし、「東証では、暗号資産トレジャリー企業に限らず、リスクやガバナンスの観点から懸念のある場合については、株主・投資者保護の観点から対応しており、引き続き必要な検討を進めてまいります」と伝えた。
本日、一部報道において、JPX がデジタル資産関連事業へ移行する企業のうち、いわゆるバックドア・リスティング(裏口上場)や十分なガバナンス手続きを経ていない事例に着目している可能性が指摘されています。…
— Simon Gerovich (@gerovich) November 13, 2025