ワームホール財団、レイヤーゼロのスターゲート買収提案に対抗入札を検討。投票一時停止を要請

Wormhole財団がLayerZeroによるStargate買収提案に競合する入札を検討

クロスチェーンプロトコル「ワームホール(Wormhole)」の運営組織であるワームホール財団(Wormhole Foundation)が、競合プロトコル「レイヤーゼロ(LayerZero)」によるクロスチェーンブリッジ「スターゲート(Stargate)」の買収提案に対抗する入札の検討を8月21日に発表した。同財団は現在実施されているコミュニティ投票の5営業日間の一時停止を要請している。

レイヤーゼロは今月初め、スターゲートエコシステムを1億1,000万ドル相当で買収し、自社の技術スタックに統合する提案を発表していた。この提案では、全てのSTG(スターゲートのガバナンストークン)をZRO(レイヤーゼロのガバナンストークン)に1 STG = 0.08634 ZROのレートで交換し、スターゲートの収益をレイヤーゼロトークンの買い戻しに使用するとしている。

しかしワームホール財団は、この買収価格がスターゲートの真の価値を適切に反映していないと主張。同財団によると、スターゲートの財務状況には7,647万ドルのステーブルコイン、1,590万ドル相当のイーサリアム(ETH)、5,500万ドル相当のSTG、524万ドルのその他の資産が含まれており、STGを除いても約9,200万ドルの資産を保有している。

スターゲートプロトコルは7月に40億ドルのブリッジ取引量を記録し、2024年7月から10倍の成長を示している。現在のTVL(総預かり資産額)は3億4,500万ドルで、年間売上予測は200万ドル、80以上のブロックチェーンで稼働している。

ワームホール財団は声明で「財務資産だけで約9,200万ドルにもかかわらず、提案された取引は資産と将来の経済的利益を1億1,000万ドル相当のトークンで譲渡するものであり、魅力的な提案とは言えない」と批判した。また同財団は「STGトークン保有者の価値を最大化するため」により高い入札を準備していると述べている。

レイヤーゼロの買収提案に関するコミュニティ投票は当初8月24日に終了予定だったが、ワームホール財団の要請により投票の一時停止が検討される可能性がある。同財団は最終的な提案額を明らかにしていないが、「意味のある高い入札」を準備していると述べている。

ワームホール財団による買収が実現すれば、クロスチェーンインフラストラクチャーの2大プレイヤーが統合され、市場を支配するエコシステムが誕生することになる。スターゲートの深い統一流動性プールと実証済みのユーザー需要に、ワームホールの数十のブロックチェーンやプロトコルとの幅広いエコシステム統合が組み合わさることで、より高い取引量、強力な手数料収益、より強固なエコシステムがもたらされるとしている。

なおスターゲートは、レイヤーゼロ上に構築された分散型ブリッジで、USDC、USDT、ETH、BTCなどのネイティブ資産を80以上のブロックチェーン間でシームレスに転送できる。一方、ワームホールは従来のロック・アンド・ミント方式を使用する類似のブロックチェーンブリッジだ。

参考:フォーラム
画像:iStocks/mouu007

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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