米ブロックチェーン開発企業R3がデータの暗号化プラットフォーム「コンクレイブ(Conclave)」をローンチ

R3がデータの暗号化プラットフォーム「コンクレイブ」をローンチ

米ブロックチェーン開発企業R3がコンフィデンシャル・コンピューティング(Confidential Computing)のプラットフォーム「コンクレイブ(Conclave)」を2月11日にローンチしたことを発表した。「コンクレイブ」はIntel Software Guard Extensions (Intel SGX)を使い 機密コンピューティングのパワーを組み合わせて作られた。

コンフィデンシャルコンピューティングとは、ユーザーがクラウド上などで企業の財務データや医療機関の医療データなどの機密情報を常時暗号化したまま利用できる技術だ。

「コンクレイブ」は、企業が実際のデータを誰にも開示することなく、データセットを安全に集約して、顧客や市場全体で共有されているビジネス上の問題を解決することを可能にする。

「コンクレイブ」を活用することで、不正行為の検出、コストの削減、価値の高いマルチパーティ分析の構築など、データの所有者がデータの処理方法をコントロールできる新世代の信頼できるサービスへの道が開かれるようになるとのことだ。

R3のリリースでは「コンクレイブ」の具体的なユースケースとして「電子市場を運営している銀行で、顧客のデータを見られていないことを保証したい場合や、機密保持規則に違反することなく不正請求に関する情報を共有する必要がある保険会社などの役に立つでしょう。

従来データは送受信時と保存時のみ暗号化されていますが、コンクレイブは処理中もデータを保護しています」と説明している。

R3のCEOであるデビッド・ラッター(David E. Rutter)氏は「独自データは共有され、効果的にプールされていれば、より大きな分析、洞察力、商業的な機会への鍵を握っています。

しかし多くの企業は、データがどのように使用されるのかという本質的な不信感から、データを送信することに抵抗を感じています。R3のコンクレイブはコンフィデンシャル・コンピューティングやIntel SGXのようなテクノロジーによって、この信頼の問題を解決するように設計されています。

コンクレイブは当社の開発者とビジネスチームの豊富な経験に裏打ちされたクラス最高の技術を提供し、データの共有、処理、分析におけるプライバシーの新時代をもたらすために、顧客に力を与えます」とコメントしている。

Corda Enterpriseとコンクレイブのシステム統合は近日中に予定されているとのことだ。

編集部のコメント

近年コンフィデンシャル・コンピューティングに注目が集まっています。2020年7月14日にGoogle CloudがGoogle Cloud Confidential Computingの提供を開始しました。

Google Cloudのブログで米投資銀行JPモルガンのディレクターモルガン・エイカーズは「J.P. Morgan Chase では、データ保護は最優先事項の一つであり、Confidential Computingをデータ保護戦略の一環として検討すべき新しいテクノロジーと考えています」とコメントしています。

このように金融機関や医療機関など機密性の高いデータを扱う企業は、コンフィデンシャル・コンピューティングに着目せざるを得ないと考えられます。

コンフィデンシャル・コンピューティングの潮流は、個人データのあり方に大きく影響を与えるWeb3.0の考えを社会実装するためにも不可欠ではないでしょうか。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStocks/m_pavlov・dalebor)

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あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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