マスターカードとボーダーレス、国際ステーブルコイン決済の信頼性向上へ共同実証

「Mastercard Crypto Credential」を活用

米決済大手マスターカード(Mastercard)と、ステーブルコイン決済基盤を提供するボーダーレス(Borderless.xyz)が、国境を越えたステーブルコイン決済の信頼性向上に向けた共同実証を行う。ボーダーレスが8月5日に発表した。

この共同実証では、マスターカードの「マスターカード・クリプト・クレデンシャル(Mastercard Crypto Credential)」を活用するという。共通標準に基づく同フレームワークが、国際ステーブルコイン決済に関わる事業者間の信頼できるやり取りをどのように支援できるか検証するとのこと。

国際送金でステーブルコインの利用が広がる一方、決済事業者には、取引相手が誰であるか、また相手方が適切な基準や要件を満たしているかを確認する必要がある。新たな事業者と接続するたびに同様の確認を繰り返すことが、ネットワーク拡大時の負担になっているとのこと。

今回の実証では、マスターカード・クリプト・クレデンシャルが提供する、参加事業者の信頼性を示す情報を、各社が取引の承認やコンプライアンス、リスク管理の手続きに活用できるかを検証するという。参加事業者を共通基準で確認し、その結果をネットワーク内で活用することで、取引相手ごとに確認をやり直す負担の軽減を目指すとのこと。

マスターカード・クリプト・クレデンシャルは、ブロックチェーン上でやり取りする利用者や事業者を検証するための共通基準とインフラだ。参加者が所定の本人・事業者確認やコンプライアンス基準を満たしていることを示すほか、送付先が対象の資産やブロックチェーンに対応しているかを確認する機能などを提供している。

同実証には、ボーダーレスのネットワークに参加するインフィニア(Infinia)、ワラペイ(Walapay)、コイウェ(Koywe)が加わる。各社はマスターカード・クリプト・クレデンシャルを用い、ネットワーク規模で「単一監査型」のコンプライアンスモデルを運用する初期のステーブルコイン決済事業者となる。このうち複数社は、マスターカードのスタートアップ支援プログラム「スタート・パス(Start Path)」の参加企業でもあるという。

ボーダーレスの共同創業者兼CEOケビン・レッティニティ(Kevin Lehtiniitty)氏は、ステーブルコイン決済事業者にとって大きな摩擦となっているのは決済そのものではなく、ネットワークの拡大にコンプライアンス対応が追いつかない点だと指摘。新たなプロバイダーが加わるたびに確認を最初から行う必要がある現状に対し、今回の取り組みでは、銀行間の国際送金網(コルレス銀行網)で用いられてきたように、起点での確認結果を後続の参加者が活用できるモデルをデジタル資産決済へ応用すると同氏は説明している。

またマスターカードのブロックチェーン・デジタル資産担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるラジ・ダモダラン(Raj Dhamodharan)氏によると、両社の関係はStart Pathを通じて始まったという。同氏は今回の実証について、拡大する参加者ネットワークにおいて、マスターカード・クリプト・クレデンシャルがステーブルコイン決済への信頼をどのように高められるかを探る次の段階だと述べた。

ボーダーレスは、複数のステーブルコイン決済事業者や法定通貨の銀行送金網、為替機能を接続するオーケストレーションおよび流動性ネットワークを提供している。同社によると、単一のAPIを通じて、100カ国超で15社超の認可を受けたステーブルコイン事業者とウォレット基盤を接続しているという。

なお、実証の実施期間や対象となるステーブルコイン、商用化の時期は明らかにされていない。

マスターカードは8月3日、ステーブルコイン決済インフラ企業BVNKの買収完了を発表した。マスターカードのグローバル決済ネットワークと、BVNKのオンチェーン基盤およびステーブルコイン技術を組み合わせ、法定通貨とデジタル通貨の相互運用性を高める方針だ。国際B2B決済や送金、支払い、清算、資金管理などで、ステーブルコインやトークン化資産を活用する金融機関、フィンテック、企業を支援するとのことだ。

参考:プレスリリース
画像:PIXTA

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。