Suiのビットコイン金融基盤「Hashi」テストネット開始、新セキュリティ機能「Guardian Layer」も導入

Hashiテストネット開始

レイヤー1ブロックチェーン「スイ(Sui)」を支援するスイ財団(Sui Foundation)が、ビットコイン(BTC)金融基盤「ハシ(Hashi)」のテストネット開始を7月22日に発表した。

これにより、開発者や金融機関、カストディ事業者、インフラ事業者などは、メインネット公開に先立ち、ビットコインを担保とした金融アプリケーションの開発や統合、ストレステストを開始できるようになった。今回、新たなセキュリティ機能「ガーディアンレイヤー(Guardian Layer)」も公開されている。

ハシは、ビットコインを担保としたレンディングや借入、信用供与などの金融サービスを、開発者や金融機関が構築するための基盤だ。利用者がビットコインネットワーク上の専用アドレスへBTCを預け入れると、その保有を表す受領トークン「hBTC」がスイ上で発行される。ビットコインネットワーク上のハシアドレスにBTCを維持(ロック)したまま、利用者はhBTCをDeFiなどの金融サービスで利用できる。

ハシは今年3月19日に発表され、同日にdevnetで公開された。6月23日にはパートナー企業の拡大が発表され、今回のテストネット開始により、devnetでの初期開発段階から、メインネット公開に向けたシステム統合や運用フローの検証を進める段階へ移行した。

スイ財団は、ビットコインの時価総額が1兆ドル(約163兆円)を超える一方、その大部分は金融市場で十分に活用されていないと説明している。

これまでビットコインを金融サービスで活用する手法としては、ラップドBTCや中央集権型の信用仲介を利用する仕組みなどが採用されてきた。同財団は、こうした仕組みには担保管理や資産の運用状況が見えにくいという課題があり、機関投資家による利用が広がりにくかったと説明している。

スイ財団は、ビットコインネットワーク上にネイティブBTCを維持したまま、スイ上のスマートコントラクトを通じて、融資や借入、信用市場などの担保として活用できる環境の構築を目指している。

今回初めて公開されたガーディアンレイヤーは、ビットコイン担保の移動や大口取引に対する追加の保護機構として設計された多層的なリスク管理機能だ。発表では、担保がシステム外へ移動する前に、悪意が疑われる担保移動を遅延または阻止できる仕組みを備えるとのことだ。

さらに、各BTC担保(UTXO)は2-of-2マルチシグによって保護される。BTC担保を移動するには、ハシのバリデータによるマルチパーティコンピュテーション(MPC)署名と、ガーディアンによる署名の両方が必要になるとのことだ。スイ財団は、ガーディアンレイヤーを、自動担保管理や検証可能な融資条件、担保の健全性をオンチェーンで可視化する仕組みなど、従来の機能を補完するものと位置付けている。

また、スイ財団の発表では、米SEC登録投資顧問会社のウェーブ・デジタル・アセッツ(Wave Digital Assets)が、ハシを利用したビットコイン利回り付き債券商品をスイ上で優先的にトークン化することに、3年間にわたりベストエフォートで取り組むと表明した。

さらに、今回の発表では、4月9日に公表されたデジタル資産分野を専門とする米法律事務所フェンウィック(Fenwick)の弁護士による税務分析も改めて紹介された。同分析によると、ハシへのBTCの預け入れとhBTCの受領、およびhBTCの償還について、米国連邦所得税法上の課税対象となる処分には当たらないと考えられるとのことだ。ただし、明示的な税務指針はなく、この分析は税務助言ではないと明記されている。またhBTCを売却した場合は、裏付けとなるBTCの売却として扱われるとの見方が示されている。スイ財団は、この分析について、ネイティブBTCの預け入れや償還に伴う税務上の懸念に対応するものとして紹介している。

なお、7月22日時点でハシには25社以上のローンチパートナーが参加しているとのこと。参加企業には、ビットゴー(BitGo)、ブロックデーモン(Blockdaemon)、レジャー(Ledger)などのカストディ・ウォレット事業者のほか、ブリッシュ(Bullish)、カンバーランド(Cumberland)、ファルコンX(FalconX)などの流動性提供事業者、アルファレンド(AlphaLend)、ナビ(Navi)、スキャロップ(Scallop)、スイレンド(Suilend)、フルイド(Fluid)などのDeFiプロトコルが含まれる。

このほか、資産運用会社や保険会社、価格オラクル、スマートコントラクト監査企業などもエコシステムへ参加している。スイ財団は、開発者向けSDKや統合ガイド、技術資料も公開した。これにより、開発者はメインネット公開に向け、テストネット上でアプリケーション開発やシステム統合の検証を開始できるとのことだ。

参考:Sui
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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