サークルCEO、利回り規制後の競争軸に取引連動型リワード挙げる

GENIUS法成立後の競争環境に見解

米サークル(Circle Internet Financial)の共同創設者兼会長兼CEOジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏が、米ステーブルコイン規制法「ジーニアス法(GENIUS Act)」成立後の競争環境について見解を示した。発行体による利回り提供が制限される中、今後は取引や決済活動に基づく報酬設計が差別化要因になるとの認識を同氏は示している。

アレール氏に関する発言をまとめた「ウーブロックチェーン(WuBlockchain)」の5月26日のX投稿によれば、同氏はジーニアス法下におけるステーブルコインの利回り規制について、「本当の議論は、流通事業者がユーザーへ報酬を提供できるかどうかにある」との見方を示した。

ジーニアス法は2025年7月に成立した、米連邦レベルで初となる包括的なステーブルコイン規制法だ。同法では、ステーブルコイン発行体が保有者へ直接利息や利回りを支払うことを禁じている。一方で、アフィリエイトや第三者事業者を通じた報酬プログラムについては規制上の線引きを巡る議論が残っている。

アレール氏は、発行体による直接的な利回り提供は制限される一方、実際の取引や決済活動に紐づくポイント還元、キャッシュバックなどの報酬設計には余地があるとの認識を示している。

同氏はサークルの2026年第1四半期決算説明会でも、取引ベースの報酬モデルを支持する姿勢を示した。現在協議が続く米暗号資産市場構造法案「クラリティ法(CLARITY Act)」を巡っては、上院銀行委員会の修正文言で、パッシブな保有に対する銀行型利回りを制限する一方、実際の取引や決済活動に紐づくインセンティブは一定程度認める方向性が示されている。

アレール氏は、「実際の取引・決済量・活動に基づいたものでなければならない。それがまさに我々が求めているインセンティブの形だ」と説明している。

また同氏は、サークルが本質的に「ネットワーク効果主導のビジネス」であり、ネットワークの実用性を高める取り組みはすべてUSDC普及の追い風になるとの考えも示した。

さらにアレール氏は、ステーブルコインがインターネット型のソフトウェア基盤へ進化していく過程で、既存金融機関が消滅するのではなく、かつてインターネットが既存メディアや通信産業と競争した時代のような、「激しく、しかし公正な競争」環境へ移行していくとの見通しを示した。

サークル側も近年、パブリックブロックチェーンや規制されたステーブルコイン、プログラマブルな金融インフラが新たな金融システムの基盤になりつつあるとの認識を繰り返し示している。こうした変化について同社は、ウェブやクラウド、モバイル、AIプラットフォームの登場に匹敵する構造転換だと位置づけている。

一方、規制当局側では議論が続いている。

米通貨監督庁(OCC)はジーニアス法の実施規則案において、発行体がアフィリエイトや一定の関連第三者を通じて利回り・利息の禁止を迂回する仕組みを、禁止行為と推定する方向性を示しており、銀行業界はこうした規制強化を支持している。

これに対し暗号資産業界側は、過度に広い第三者報酬の制限はステーブルコインの競争力や普及を阻害しかねないとして反発している。

2026年5月時点では、クラリティ法案の調整協議において、パッシブ保有への銀行型利回りは禁止しつつ、取引・決済活動に連動した報酬プログラムは一定程度認める方向で検討が進められている。

利回りを巡る攻防は、ステーブルコイン市場の成長モデルそのものを左右するテーマとして、今後も業界や規制当局、議会の間で注目を集めそうだ。

画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【5/25話題】バイナンス共同CEOがイラン制裁回避報道を否定、ECBがユーロ建てステーブルコイン拡大に警鐘など(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored