ヒューマンテック、ウォレット基盤「WaaP」をスイに対応。シードレスなセルフカストディ可能に

WaaPをスイに対応、アプリへのウォレット組み込みが可能に

プライバシー重視のインフラを提供する「ヒューマンテック(Human.tech)」が、同社開発のウォレット基盤「ウォレット・アズ・ア・プロトコル(Wallet as a Protocol:WaaP)」を、レイヤー1ブロックチェーンのスイ(Sui)に対応させたと2月16日に発表した。

今回の対応により、WaaPは従来対応してきたEVM系チェーンに加え、スイ上でも利用可能となる。これにより、スイ上のアプリケーションにおいて、シードフレーズを用いないセルフカストディ型ウォレットを直接組み込むことが可能になるという。

WaaPは、ウォレットを「サービス」ではなく「プロトコル」として提供する設計を採用している点が特徴だ。特定の事業者がユーザー資産を管理するウォレット・アズ・ア・サービス(WaaS)とは異なり、オープンなインフラとして提供され、ベンダーロックインを伴わないとしている。

同プロトコルでは、秘密鍵を単一で保持せず、数学的に関連付けられた2つの鍵シェアに分割する二者計算(2PC)方式を採用している。ユーザー側で生成される「主権シェア」と、信頼実行環境(TEE)内で管理される「セキュリティシェア」を組み合わせることで、単一主体による資産の不正操作を防ぐ設計だという。

ヒューマンテックによると、スイ上で提供されるWaaPは、スイネイティブのマルチパーティ計算(MPC)ネットワーク「イカ(Ika)」上で動作する。

イカは、複数の署名ノードに権限を分散させた上で、サブ秒単位での署名処理を行うことを特徴とする分散型ネットワークだ。イカは、最大秒間10,000件規模の署名処理を想定した高スループットと、数百規模まで拡張可能な署名ノード構成を採用している。また、特定のノードや運営主体を信頼しない「ゼロトラスト」を前提とした設計により、低レイテンシと高い検閲耐性の両立を目指しているという。

ヒューマンテックは、こうしたイカの分散型署名ネットワークを用いることで、ウォレットの支出制限や実行ポリシーを中央サーバーに依存せず制御できるとしている。トランザクションの制約や実行ルールは、サーバー側ロジックではなくスマートコントラクトによって定義されるため、分散型の特性を維持できると説明している。

WaaPを利用することで、開発者はメールアドレスや電話番号、ソーシャルログインなど、従来のWebサービスに近い認証手段を用いたウォレット体験を提供できる。一方で、資産の管理権限はユーザー自身に留まり、ヒューマンテックを含む第三者が資金へアクセスすることはできない設計だという。

同社はまた、WaaPが本人確認(KYC)を行わない点について、ユーザーの主権性とプライバシーを維持するための設計であると説明している。複数のログイン手段を紐付けることや、主権シェアをエクスポートして保管することで、中央集権的なバックドアを設けずに復旧手段を確保できるとしている。

ヒューマンテックは今後も、WaaPを通じて分散型環境におけるウォレット体験とセキュリティの両立を図り、開発者とユーザー双方にとって利用しやすい基盤の提供を目指すと説明している。

 

参考:ドキュメント
画像:PIXTA

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