ライトニングラボ、AIエージェントが支払える決済基盤を公開。L402活用で

L402を活用したエージェント決済の実装を拡張

ライトニングラボ(Lightning Labs)が、AIエージェントがライトニングネットワーク上でネイティブに取引できるツール群をオープンソースとして公開したと2月11日に発表した。

ライトニングラボは、ビットコイン(Bitcoin)の高速・低コスト決済を可能にするライトニングネットワーク向けソフトウェアを開発するインフラ企業だ。同社は、送金機能の提供にとどまらず、インターネット上でのAPI利用やデジタルリソースへのアクセスに対して、ライトニングによる支払いを組み込む仕組みの開発も進めてきた。今回のツール群は、そうした取り組みをAIエージェント向けに拡張したものと位置付けられる。

こうした取り組みの中核にあるのが、HTTPステータスコード「402ペイメント・リクイアド(402 Payment Required)」を活用した「L402」と呼ばれる仕組みだ。HTTP 402は、リソースへのアクセスに支払いが必要であることを示すステータスコードとして仕様上は定義されていたものの、インターネット標準として利用できる決済手段が存在しなかったため、これまで実用化されてこなかった。ライトニングラボは、ビットコインとライトニングネットワークを用いることで、この未使用だった仕組みを、API利用やデジタルリソースへのアクセスに対する機械的な支払いに適用できると位置付けている。

今回公開されたのは、AIエージェントがID登録やAPIキーを用いずに、支払い、APIアクセス、有料エンドポイントの提供などを自律的に行うための「ライトニング・エージェント・ツールス(Lightning agent tools)」と呼ばれる一連のツールセットだ。

ライトニングラボは、この取り組みについて、AIエージェントの能力が急速に拡大する一方で、支払いが依然として大きな制約となっている点を背景に挙げている。

公開されたリポジトリには、ライトニングノードの運用、秘密鍵を分離管理するリモートサイナー構成、支出範囲を限定した認証情報の作成、支払いが必要なAPIへのアクセス、有料エンドポイントのホスティング、ノード状態の照会、買い手と売り手のワークフローを統合する機能など、7つのスキルが含まれる。これらのスキルは、シェルコマンドを実行できるAIエージェントであれば、特定のフレームワークに依存せず利用できるという。

今回の発表の中核となるのが、L402に対応したコマンドラインHTTPクライアント「lnget」だ。lngetは、wgetやcurlのようにHTTPリクエストを行いながら、支払いが必要な場合にはライトニング決済を自動で処理する。これにより、複数の有料APIをまたぐワークフローでも、支払い処理がボトルネックになりにくいととのこと。

また、支出上限の設定や、秘密鍵をエージェントから分離する構成を採用することで、AIエージェントが実際の資金を扱うことを前提とした安全性と制御性が確保されている。

サーバー側では、L402に対応したリバースプロキシ「アパーチャー(Aperture)」を用いることで、既存のAPIを従量課金型の有料サービスとして提供できるという。これにより、AIエージェント同士が支払いを伴ってサービスを提供・利用する取引ループが想定されている。

ライトニングラボは、こうした取り組みを通じて、AIエージェントが自律的に経済活動を行う「機械が支払えるウェブ(machine-payable web)」に向けた基盤整備を進めると説明している。

なおHTTP 402を用いたエージェント決済を巡っては、米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)などが関与した「x402」と呼ばれる取り組みも進められている。x402は、人間向けのAPI課金を含む幅広い用途を想定する一方、ライトニングラボのL402は、ライトニングネットワークによる即時かつ小額の自動決済を前提に、AIエージェント間の取引に焦点を当てている。

AIエージェントが単なるツールから経済活動を担う主体へと変化しつつある中で、どのような決済インフラが実運用で採用されていくのか。今回のライトニングラボの取り組みは、その行方を占う一例として位置付けられる。

 

参考:ライトニング・ラボ
画像:iStocks/24K-Production

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