デジタル資産2段階法の立法も加速
韓国政府が、上場企業や専門投資法人による暗号資産投資の解禁と、ビットコイン現物ETF(上場投資信託)の導入を2026年内に進める方針を示した。地元紙「ニュース1(News1)」が1月9日にそれぞれ報じている。
金融委員会(FSC)は、自己資本の最大5%まで法人の暗号資産投資を認めるガイドラインを策定するとともに、ステーブルコイン規制を含む「デジタル資産2段階法」の立法を加速させるという。
これらの施策は、政府が1月5日に発表した「2026年経済成長戦略」に盛り込まれたもので、韓国の暗号資産市場を個人投資家中心から機関・法人主導へと転換させる狙いがある。なお、所管省庁は金融委員会(FSC)だ。
「ソウル経済新聞(Seoul Economic Daily)」は1月11日、金融関係者の話として、FSCが「上場法人の暗号資産取引ガイドライン」を策定し、1月6日に官民合同タスクフォース(TF)に共有したと報じた。2026年1〜2月中に最終案を公表し、法人による投資・財務目的の暗号資産取引を正式に認める見通しだという。
法人の年間投資額(取引所への入金額)は、自己資本の5%以内に制限されるとされている。投資対象は、国内主要5大暗号資産取引所が半期ごとに公表する時価総額ランキング上位20銘柄に限定され、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)が中心となる見込みだ。テザー(USDT)などのドル建てステーブルコインを対象に含めるかどうかは、現在も議論が続いている。
また、流動性拡大にともなう市場リスクを抑えるため、暗号資産取引所に対し、分割売買や一定の呼値範囲を超える注文に関する基準も設ける方針だ。
韓国では2017年、資金洗浄や市場過熱への懸念から法人の暗号資産投資が全面的に禁止された。今回の方針転換は約9年ぶりとなり、市場では約3,500社分の法人資金が段階的に流入する可能性があるとみられている。
市場関係者の間では、資金力とリスク管理能力を備えた法人が市場に参加することで、投機的需要が減少し、長期投資基盤が形成されると期待されている。実際、韓国の暗号資産市場は昨年上半期時点で投資家数が1,000万人を突破した一方、海外に流出した資金も76兆ウォン(約8兆円)に達したという。これは、個人投資家が100%に迫るほど市場の大半を占めていることから、投機的需要が集中してきたためとされる。全体時価総額に占めるアルトコインの割合も、海外と比べて約2倍高い水準にあるという。
FSCは、ステーブルコインを中心としたデジタル資産2段階法の立法も進める。法案には、発行体の認可制(資本金要件など)や、発行額の100%以上の準備資産保有義務、利用者の償還請求権といった内容が盛り込まれる予定だ。
さらに、同法と連動して、国境を越えたステーブルコインの移転・取引に関する規制枠組みも整備する。金融委員会と企画財政部が共同で所管する方針とされている。
一方で、自己資本5%という投資上限については、業界から「海外と比べて厳しすぎる」との指摘も出ている。米国やEU、日本などでは、一般法人の暗号資産投資に明確な比率制限を設けていない国も多く、韓国において暗号資産を企業価値向上に活用するモデルの登場は難しくなるとの見方もある。
ビットコイン現物ETFも年内導入へ
同じく同日に「ニュース1」から報じられたのは、韓国金融当局がビットコイン現物ETFの導入を2026年中に進める方針を示したことだ。これまで韓国では、暗号資産がETFの基礎資産として認められておらず、現物ETFの上場・取引は不可能だった。
FSCは、米国や香港などでビットコイン現物ETFがすでに取引されている状況を踏まえ、制度整備を進めている。
報道によると韓国はまた、ステーブルコインとは別に、2030年までに国庫金の4分の1をデジタル貨幣、いわゆる「預金トークン」として活用する方針も掲げているとのこと。
政府はモデル事業の結果を踏まえ、韓国銀行法や国庫金管理法などを改正したうえで、2026年中にブロックチェーン基盤の支給・決済のための法的根拠を整備する見込みだ。業務推進費などを預金トークンで支給・決済できる電子ウォレットの配布も予定されているという。