メタプラネット、優先株式活用の資本政策を承認。臨時株主総会で5議案可決

臨時株主総会で5議案可決

国内上場企業で最もビットコインを保有し、ビットコインによる財務戦略を進めるメタプラネットが、優先株式を活用した資本政策を進めるための一連の議案を承認したと、同社代表取締役社長のサイモン・ゲロヴィッチ(Simon Gerovich)氏が12月23日、自身のXアカウントで発表した。

同氏によると、前日22日に開催された臨時株主総会では、提出していた5議案すべてが承認可決されたという。

メタプラネットは、ビットコインを主要な財務資産として保有・運用する戦略を進めており、今後も継続的に取得を行うための資金調達手段や資本政策の整備を進めている。今回の議案は、その前提条件を制度面から整えることを目的としたものだ。

第1号議案では、優先株式の配当や将来的な自己株式取得に備えるため、資本金および資本準備金の額を減少し、その減少額をその他資本剰余金へ振り替えることが承認された。資本金は1円、資本準備金は0円に変更される。この手続きは帳簿上の調整であり、発行済株式数や株主の持株比率に影響はないとされた。

第2号議案では、今後の資金調達に備え、定款変更が承認された。これにより、発行可能株式総数は3,833,000,000株、発行可能A種種類株式総数は555,000,000株、発行可能B種種類株式総数は555,000,000株に変更された。

第3号議案では、A種種類株式(MARS:Metaplanet Adjustable Rate Security)に関する規定変更が承認された。MARSは月次配当で、参照金利に基づく変動配当(Floating Dividend Rate)の設計を含む。

第4号議案では、B種種類株式に関する規定変更が承認された。B種種類株式は四半期ごと(年4回、基準日:3/31・6/30・9/30・12/31)に配当を行う設計で、一定条件下で投資家が償還を請求できる権利(非上場継続時等)や、一定条件下で会社側が取得できる条項(例:市場価格条件の取得は原則として発行日から10年経過後以降)などが定められている。

第5号議案では、第三者割当によるB種種類株式の発行が承認された。B種種類株式は海外募集(overseas offering)として、23,610,000株を1株900円で発行し、調達額は21,249,000,000円となる。調達資金は、主として追加のビットコイン取得などに充当する方針だ。

これらの議案可決により、メタプラネットは、普通株式の希薄化を抑えつつ資金を調達するための枠組みを整え、ビットコインによる財務戦略を継続的に実行するための制度面の準備を進めた。

なお同社は今月、資金調達を伴わない形で米国向けにスポンサー付きADR(米国預託証券)プログラムを設立したと発表している。これは長期的な資本市場戦略の一環として、特に米国の投資家や機関投資家が、同社株式によりアクセスしやすい環境を整備する狙いがあるとしていた。

今回の臨時株主総会で承認された議案は、こうした投資家基盤の整備と並行して、将来的な資金調達やビットコイン取得を実行するための制度的な枠組みを整える位置付けとみられる。

参考:株主総会参考書類
画像:PIXTA

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