バイナンス、従業員の内部不正を確認。公式Xでトークン宣伝で

ミームコイン巡り不正疑惑

世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)は、同社従業員が内部情報を悪用し、公式SNSへの投稿を通じて私的な不正利益を得ていたことが確認されたと12月7日に発表した。

同社によると、問題発覚後、直ちに社内調査を開始。予備調査の結果、当該従業員が12月7日05時29分(UTC)にオンチェーン上で発行された特定のトークンに関与していたことを確認したという。また、その1分も経たないうちにBinanceFuturesの公式Xアカウントから、当該トークンに関連するテキストと画像を用いた投稿が行われていたことも判明したという。

バイナンスは、これらの行為について、「私利私欲のために職権を乱用したものであり、当社のポリシーおよび職業行動規範に明確に違反する」と説明。当該従業員は即時停職処分とされ、今後さらなる懲戒処分の対象になるという。

加えてバイナンスは、当該従業員の管轄地域の関係当局とも連携し、適用される法律に基づき必要な法的措置を講じる方針も明らかにした。

同社は声明で、「バイナンスは常にユーザー第一主義を堅持し、透明性、公平性、誠実さを最重要視している。不正行為はいかなる場合も容認しない」と強調。今後も内部統制の強化とポリシーの改善を進め、再発防止を徹底するとしている。

また、不正行為に関する内部告発制度(audit@binance.com)を通じた情報提供を引き続き歓迎する姿勢も示した。

今回の事案についても、公式通報窓口を通じた有効な情報提供者に対し、総額10万ドル(約1,559万円相当)の報奨金を、最も早期かつ有効な複数の通報者に分配するとしている。なお、X上でも一部情報が公開されていたことが確認されたが、報奨金の対象は公式窓口経由の通報に限られるとしている。

この件について、バイナンスの共同創業者で共同CEO(co-CEO)のイ・ヘ(Yi He)氏もコメントを発表。公式SNSアカウントの運用については日常業務上の裁量があるとしつつも、「バイナンスの従業員はいかなるトークンプロジェクトの発行やプロモーションにも関与してはならない」という原則を改めて強調した。

また、同氏の発言やバイナンス公式アカウントの投稿が一部コミュニティによって切り取られ、トークン発行に利用されるケースについては、「それはコミュニティ側の自主的な行動であり、バイナンスとは無関係」と説明。「私の『従業員のイノベーションや挑戦を奨励する』という発言も、あくまで日常業務に限った話であり、トークン発行とは一切関係ない」とし、「投資には十分注意してほしい」と改めて呼びかけた。

今回調査の対象となったトークンは、BNBチェーンのトークンローンチパッド「Four.Meme」で作成されたミームコイン「Year of the Yellow Fruit」と見られている。

一部のXユーザーによると、トークンローンチ直後、Binance Futuresのアカウントから同トークンのテキストと画像に酷似した画像が投稿されたというが、現在は削除されている。

また、Marcos Crypto氏の投稿によれば、当該の投稿は5:30に行われたにも関わらず、オンチェーンデータでは5:29に既に取引が行われていた点も指摘されている。

画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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