不動産業界で「ゆうちょ銀行のトークン化預金」の実証実験へ
ゆうちょ銀行のトークン化預金(Tokenized Deposits)の実証実験(PoC)が開始される。これにあたりディーカレットDCPとシノケングループは、ゆうちょ銀行を含めた3社で同トークン化預金の活用に向けた協業のための基本合意書を締結したことを11月26日に発表した。
ディーカレットDCPは、デジタル通貨事業を行う国内企業。同社は銀行預金をデジタル化し、ブロックチェーン上で決済を可能にするシステム「DCJPYネットワーク」を提供している。またシノケングループは、アパート販売を含む不動産セールス事業から、ゼネコン事業、エネルギー事業、ライフケア事業、海外事業まで幅広く展開している企業。今回のトークン化預金を利用した決済の実証実験は、不動産業界初の取り組みとして実施されるとのこと。
今回の実証実験では、シノケングループの賃貸管理における月次賃料の支払いをユースケースに、トークン化預金を活用した決済の自動化・効率化を検証するとのこと。
即時決済が可能なトークン化預金を用いることで、これまで引落し日が固定されていた家賃や、ガス代、電気代の支払いを、顧客の都合に合わせて一定の範囲で自由に設定できるようになるという。
さらにシノケングループでは、入居期間や支払い履歴、入居者の紹介といった、暮らしの履歴に応じ「シノケンコイン(シノケングループの独自ポイント)」の還元を検討しているとのこと。貯めたシノケンコインは、次の住まい探しなど、シノケングループが提供するサービスでシームレスに使えることを目指すという。
この実証実験は、12月末の完了を目指すとのこと。実証結果を踏まえて2026年以降の本格的な導入に向けて準備を進めるとのことだ。
なおゆうちょ銀行によるトークン化預金の取扱い検討は、今年9月に発表されていた。
また同じく9月には、SBI新生銀行およびディーカレットDCPがシンガポール拠点のパーティオル(Partior)提供のトークン化預金のマルチ通貨決済プラットフォームを活用し、トークン化預金を活用した分散型台帳技術(DLT)によるマルチ通貨清算・決済ソリューションの実現に向け、本格的な検討を開始すると発表していた。
その他にもDCJPYネットワークでは、GMOあおぞらネット銀行が発行するトークン化預金が発行されている。同トークンはインターネットイニシアティブ(IIJ)が取り扱う「トークン化環境価値」の取引決済に昨年8月から利用されている。
参考:ディーカレットDCP・シノケングループ
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