オプティミズム、メンテナンスアップグレード「U16a」提案

オプティミズムでメンテナンスアップグレードが提案

イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2ネットワーク「OP mainnet(OPメインネット)」を開発するOP Labs(OPラボ)が、「アップグレード16a(U16a)」と呼ばれるメンテナンスアップグレードの提案を9月19日に発表した。発表時点では、実装の決定はガバナンスの承認待ちの状態である。

このアップグレードは、既存の「アップグレード16(U16)」を置き換えるもので、9月22日にテストネット、10月2日にメインネットでの実装が予定されている。

U16aの主要な目的は、U16で導入されたがメインネットでは実際に有効化されていなかったインターオペラビリティ(相互運用性)に関する撤回証明(withdrawal-proving)コードを一時的に削除することだ。

これはOPラボがパートナーからのフィードバックを受けた対応で、特に「ETHロックボックス(ETHLockbox)」コントラクトの導入に関する懸念が示されていた。

ETHロックボックスは、OPスタック(OP Stack)のブリッジ基盤であるオプティミズムポータル(OptimismPortal)に統合された新しいコントラクトである。L1とL2間のブリッジ時におけるETHの預け入れ・引き出しを扱い、預け入れ済みETHを一元管理する。なおOPスタックは、オプティミズムによるブロックチェーン開発ソフトウェアだ。

新たなアップグレードでは、システムコンフィグ(SystemConfig)コントラクトを介したシステムレベルの機能切り替え(feature toggles)が導入される。これにより、OPスタックはチェーンごとに採用する機能をカスタマイズできるようになり、急速でリスクが高いアップグレードではなく、より段階的な機能提供が可能になる。ETHロックボックスは、今回の機能切り替えの対象となる最初のコントラクトだ。

なお削除される撤回証明コードは本番環境で実行されるコードパスのみで、インターオペラビリティ関連のコードはオプティミズムモノレポ(Optimism Monorepo)に残されており、将来のアップグレードで再実装される予定だ。この措置により、他のアップグレードが含まれるU17への対応を迅速化し、オプティミズムポータルコントラクトなどの重要なコードパスに対するパートナーの信頼を向上させることを目指している。

U16aでは開発用機能フラグ(development feature flags)も追加され、開発環境でインターオペラビリティ機能をテストできるようになる。ただし、これらのフラグは本番環境では有効化できない仕様となっている。

今回のアップグレードには2つのパスが用意されており、U15からU16aへの直接アップグレードと、既にU16を導入しているチェーンからU16aへのアップグレードの両方が利用可能だ。U15から直接U16aにアップグレードするチェーンは、将来のアップグレードまでETHロックボックスの採用が延期されることになる。

なおOPコントラクトマネージャー(OP Contracts Manager)は新しいアドレス「0x8123739c1368c2dedc8c564255bc417feeebff9d」に更新され、最新リリースタグは「op-contracts/v4.1.0-rc.3」となる。

また監査会社スピアビット(Spearbit)による監査も完了している。開発用機能フラグに関する軽微な問題が2件報告されたが、これらはU17で対処予定だ。

今回の提案では、エンドユーザーやインフラプロバイダー、チェーン管理者にとってプロトコルの動作に重大な変更はないとされている。既にU16を導入しているチェーンの既存の撤回証明の無効化もなく、ダウンタイムなしに実行される予定だ。

参考:フォーラム
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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