3万BTC保有のビットコイン・スタンダード、キャンター支援のSPACと合併でナスダック上場へ

ビットコイン・スタンダードがSPAC上場で世界4位のBTC保有企業へ

米暗号資産企業ビットコインスタンダードトレジャリーカンパニー(Bitcoin Standard Treasury Company)が、米金融大手キャンター・フィッツジェラルド(Cantor Fitzgerald)傘下の特別買収目的会社(SPAC)との合併により、ナスダック(Nasdaq)への上場を目指すと7月17日に発表した。同社のバランスシートには3万枚超のビットコインが計上されている。

なおビットコインスタンダードのCEOは、ビットコインのコンセンサスアルゴリズム「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」に活用されている「ハッシュキャッシュ」を開発したアダム・バック(Adam Back)氏が務める。またキャンター・フィッツジェラルドの会長兼CEOは、2月にトランプ政権下で米国商務長官に就任するために同社の会長兼CEOを辞任したハワード・ラトニック(Howard Lutnick)氏の息子であるブランドン・ラトニック(Brandon Lutnick)氏だ。

ビットコインスタンダードは、公開株式融資により、最大15億ドル(約2,235億円)のPIPE(Private Investment in Public Equity:限定投資家への私募)での調達を計画している。

合併後の新会社はティッカー「BSTR」で取引される予定で、2025年第4四半期の取引開始を見込む。実現すれば同社は、上場企業として世界第4位のビットコイン保有量を誇る財務戦略企業となる。

今回の動きに先立ち、別のキャンター系SPACは今年3月、日本のソフトバンクグループ(SoftBank Group)および世界最大級ステーブルコイン発行体テザー(Tether)と組み、36億ドル(現在価格で約5,364億円)規模のビットコイン購入ベンチャーを立ち上げている。

暗号資産の価格上昇と規制環境の改善を背景に、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が創設したトランプメディア&テクノロジー(Trump Media & Technology)など上場企業が相次いで暗号資産を購入している。年初来で「ビットコイン」は26%超上昇し、15日には初めて12万ドル(約1,788万円)を突破した。

ランニングポイントキャピタルアドバイザーズ(Running Point Capital Advisors)のパートナー、マイケル・アシュリー・シュルマン(Michael Ashley Schulman)氏は「暗号資産の財務戦略は富裕層顧客の間で注目のテーマだ」と語る。

この手法を切り開いたのは、上場企業で最大のビットコインを保有するストラテジー(Strategy)の会長マイケル・セイラー(Michael Saylor)氏である。同社は7月14日時点で60万1,550BTCを保有している。

暗号資産にとって追い風となる中、米下院は、安定した価値を維持するように設計された暗号資産の一種であるステーブルコインの連邦規制枠組みを確立する法案を可決した。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Crypto firm Bitcoin Standard to go public in deal with Cantor-backed SPAC
(Reporting by Ateev Bhandari and Arasu Kannagi Basil in Bengaluru; Editing by Shinjini Ganguli)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

シタデル・セキュリティーズ、トークン化証券とDeFiに取引所・証券会社規制の適用を提言。業界側から反発の声も

米大手マーケットメイカーのシタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)が、トークン化された米国株式を取り扱うDeFi(分散型金融)プロトコルに対しても、取引所およびブローカー・ディーラーとしての規制を適用すべきだとする意見書を米証券取引委員会(SEC)に12月2日に提出した