「Intmax」メインネット公開、混雑しても手数料「ほぼゼロ」のイーサリアム決済レイヤー

「Intmax」がメインネットローンチ

スイス拠点のRyodan Systems(リョダンシステムズ)開発のEthereum(イーサリアム)決済レイヤー「Intmax(イントマックス)」が、6月26日にメインネットローンチした。

「Intmax」は、どれだけネットワーク処理が混雑しても「ほぼゼロの手数料(ガス代)」で動く、プライバシーも備えたブロックチェーン。これにより同チェーンは、Ethereumをより日常に近づける「真の決済レイヤー」としての役割を担うことを目指している。

「Intmax」は、オンチェーンデータを極限まで削減するステートレス設計により、ネットワークの混雑状況下でも、安定して超低コストかつプライバシーを保護した決済をEthereum上で実現するとのこと。zk-Rollup(zkロールアップ)技術の活用により、トランザクションごとに必要なオンチェーンデータはわずか約5バイトだという。

さらに「Intmax」のトランザクションは、利用者のプライバシーを保護する設計がなされてるという。送金履歴やアカウント残高といった個人情報が、チェーン上に露出することなく安全に処理されることで、日常的な決済に求められる「安心して使えるデジタル通貨の体験」が実現されるとのこと。

また「Intmax」では、ユーザーがプライバシーを守る活動に貢献することで報酬を得られる「Privacy Mining」メカニズムを導入している。匿名性と報酬を両立しながら、分散型ネットワークに貢献が可能となっている。

なお前述したステートレス(状態がない)とは、バリデーターがデータを保持しない(1回のやり取りで状態が初期化する)方式だ。「Intmax」は、ステートレスの特徴を活かし、データの利用効率・シーケンサーの分散化・相互運用性・プライバシーなど、レイヤー2に残る多くの問題を解決している。

またzkロールアップとは、暗号技術を利用した証明技術「ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)」活用のロールアップのこと。ロールアップは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションである。

発表によると「Intmax」実現の背景には、2017年に「理想的なスケーリング解」として注目され、当時も最も本質的なL2アーキテクチャとされた「Plasma(プラズマ)構想」がある。

Plasmaは、2017年にEthereum(イーサリアム)創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏とLightning Network(ライトニングネットワーク)を提案したジョセフ・プーン(Joseph Poon)氏によって構想された、イーサリアムのレイヤー2のスケーリングソリューション。

Plasmaネットワークでは、預金、引き出し、およびマークルルートを除くすべてのデータと計算をオフチェーンで保持ができる。Plasmaを活用することで、オンチェーンのデータの可用性によるボトルネックを受けることなく、大規模なスケーラビリティの利点が生まれるという。

ただしPlasmaには、ユーザーがネットワークから資産の引き出しを行う前に7日間待機時間があること、そしてユーザーがPlasmaチェーン上のトランザクションを監視する必要があったこと。これらの理由から、イーサリアムのスケーリングソリューションはPlasmaからRollups(ロールアップ)に置き換えられた過去がある。

「Intmax」はPlasmaの技術的課題を克服し、Plasmaの理念を現実に即したかたちで初めて実用化することに成功しているとのことだ。

Ryodan Systemsは「Intmax」の他、生体認証やMPC、FHEなどの最新の暗号技術を搭載したウォレット「INTMAX Wallet」を手掛ける企業。日本人起業家の日置玲於奈氏および藤本真衣氏がCo-Founderを務めている。 

 

参考:INTMAX
画像:iStocks/Aleksei_Derin

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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