ビットコイン単位表記の再定義提案に議論が再燃

ジャック・ドーシーも反応

ビットコイン(BTC)の単位表記に関する議論が再燃している。

この議論は以前から存在したが、今回はジョン・カルバーロ(John Carvalho)氏が4月23日にGitHub上で発表した「ビットコインの基本単位の再定義(BIP: 177)」という提案をきっかけに、活性化した。

この提案では、現在の「ビットコイン(bitcoin)」という単位表記を見直し、最小の基本単位を「ビットコイン」そのものと定義し直すことが提案されている。

現在、1BTCは1億の基本単位(=サトシ〔satoshi / sat〕)で構成されている。しかし、これは8桁の小数点以下を扱う必要があり、あたかもビットコインが10進法の通貨であるかのような誤解を招きやすいとカルバーロ氏は指摘。実際には、ビットコインの台帳は整数の単位でのみ価値を記録しており、小数点以下の表示はあくまで人間のための便宜的なものだとした。

そのため、「最小単位=1ビットコイン」と定義し直すことで、ユーザーの認識とプロトコルの本質を一致させ、教育面でもより明快な設計になるとカルバーロ氏は主張している。

カルバーロ氏はこの提案の中で、「サトシ(satoshi)」やその略称「sat」という用語は廃止し、インターフェースやドキュメント上では、単に「bitcoin」と表記することを推奨している。

この変更により、表記が直感的に分かりやすくなり、ユーザーの計算ミスを減らし、初心者が「ビットコイン=分割可能な小数」という誤解をしなくなるといった利点があるとされる。

この提案には、ビットコイン支持者として知られるジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏も反応し、自身のXで、「satsという表現は、ビットコインを始めたばかりの人にとって非常に分かりにくい」と投稿。単純に「ビットコイン」と呼ぶのが最もよいと述べている。

一方でこの変更案に反対する意見も散見された。バイト・フェデラル(Byte Federal)の製品担当ディレクターであるミシェル・ウィークリー(Michelle Weekley)氏は、「みんな、ドルのセントが理解できるし、ビットコインのサトシも理解できるでしょう」と述べた。

また、「表記が変わることで、現在およそ10万ドルに達しているビットコインの価格が突然暴落したように見えたり、『供給量が大幅に増加した』と誤解される可能性がある」といった懸念の声も上がっている。

ビットコインの生みの親サトシ・ナカモトは2010年2月、あるユーザーからの「ビットコインはどこまで細かく分割できるのか」という質問に対し、「もし小さな数字を扱うのが面倒になったら、小数点以下の表示位置を変えることもできる。 同じ金額でも、『,』と『.』の位置が違うだけ。例えば、小数点以下の桁を3つ動かせば、以前は1.00000だったものが、今は1000.00と表示される」と答えている。

ちなみにビットコインプロトコルの最後のソフトアップグレードは、2021年11月に有効化された「タップルート(Taproot)」だ。このアップグレードでは、プライバシーの向上、スマートコントラクト機能の拡張、トランザクションの効率化や手数料削減といった改善が導入された。それ以降、ビットコインにおける大規模なプロトコルアップグレードは行われていない。

参考:BIP: 177Bitcoin Forum
画像:Reuters

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【6/20話題】160億件のログイン情報流出か、クラーケンがビットコインステーキング提供など(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

米ナスダック上場LGHL、「HYPE」トレジャリー戦略で6億ドル調達。東証とSGX上場も検討

米証券取引所ナスダック(Nasdaq)上場の金融デリバティブ取引を扱う証券会社ライオングループホールディング(Lion Group Holding:LGHL)が、米投資会社ATWパートナーズ(ATW Partners)から6億ドル(約872億円)のファシリティ(資金調達枠)を確保したと6月18日に発表した