「身代金ビジネス」対策を強化
フランス内務省は、同国の主要な暗号資産(仮想通貨)起業家とその家族を対象にセキュリティ対策を強化する方針を示した。「ポリティコ」が5月16日に報じた。
報道によれば、これは今年初頭からフランスで複数回発生している、暗号資産業界の起業家やその家族に対する誘拐未遂事件に関連している。
フランスでは今年1月、レジャー(Ledger)の共同創設者であるダビッド・バラン(David Balland)氏が妻と共にフランス中部の自宅から誘拐され、犯人はバラン氏の指を切断し、その映像をビジネスパートナーに送りつけて身代金を要求した事件が発生した。
また5月初旬には、暗号資産起業家の父親が誘拐され、犯人は被害者の指を切断した映像を息子である起業家に送りつけ、数百万ユーロの身代金を要求した事件が発生した。
さらに5月13日には、フランスの暗号資産プラットフォーム「Paymium」のCEOであるピエール・ノワザ(Pierre Noizat)氏の娘と孫が、白昼堂々と誘拐されそうになる事件が発生した。犯人はマスクを着用し、偽装されたバンで被害者を連れ去ろうとしたが、被害者とその夫、通行人の協力により未遂で済んでいる。
今回のセキュリティ強化措置には、警察の緊急通報への優先アクセス、自宅訪問による安全確認、法執行機関による安全説明会などが含まれる。また、法執行官も「暗号資産マネーロンダリング対策研修」を受ける予定だ。
ブルーノ・ルタイロー(Bruno Retailleau)内務大臣は5月16日、上記の事件を受けて同国の暗号資産業界の主要人物らと会合を行い、「業界保護のために、予防、抑止、妨害を目的とした即時的かつ短期的な具体的な手段を講じて、これらの誘拐事件に対処する」との声明を発表した。
参考:報道
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