米政府、2016年のBitfinexハッキング事件で押収された約94,000BTCは「返還されるべき」と主張

「取引所に返還されるべき」

米国政府が、2016年に起きた海外暗号資産(仮想通貨)取引所Bitfinex(ビットフィネックス)のハッキング事件で盗まれ、押収した約94,000BTCは、同取引所に返還されるべきだと主張した。これは、政府がコロンビア特別区連邦地方裁判所に1月14日に提出した裁判資料で述べられている。

文書では、『この訴訟における特定の被害者は存在しない』と主張されており、「しかしながら裁判所には、被告の司法取引に基づいて自主的な返還を命じる権限がある。このような任意の返還には、ビットフィネックスハックウォレット(Bitfinex Hack Wallet)から押収された資産のすべてを含めるべきであり、また、司法取引に従って、それらの資産は現物返還としてビットフィネックスに返還されるべきである」と記されている。

ビットフィネックスのハッキング事件は、イリヤ・リヒテンシュタイン(Ilya Lichtenstein)氏とヘザー・モーガン(Heather Morgan)氏によって起こされたもの。なお二人はラッパー名「ラズルカーン(Razzlekhan)」としても活動している。

2人は2016年8月に119,754BTCの資金洗浄を共謀したとされ、当時の評価額は7,100万ドル(約110億円)近くに相当したという。

リヒテンシュタイン氏とモーガン氏は、2016年のビットフィネックスのハッキングに関連して、2023年8月にマネーロンダリングの共謀を認めたとされている。2023年にモーガン氏は、リヒテンシュタイン氏とともに逮捕され、マネーロンダリングの共謀や米国に対する詐欺の共謀罪で起訴された。

昨年11月にリヒテンシュタイン氏は5年の実刑判決を受け、モーガン氏は18か月の実刑判決を受けた。

なお2人のデバイスから2022年に押収されたビットコインは、当時、約40億ドル(約6,246億円)の価値があったとされる。これは現時点において、米司法省による史上最大の資産押収だという。

ビットフィネックスは2022年、盗まれたビットコインを回収した場合、回収された純資金の80%を、顧客の損失を補うため、ハッキング後に取引所が発行した債務トークン「UNUS SED LEO」の買い戻しと焼却に充てると発表した。これらの取引は18か月間にわたって行われる予定。これは最終的に、流通しているすべての「UNUS SED LEO」を市場から完全に撤廃させるための取り組みだ。

参考:裁判資料
画像:Fortune via Reuters Connect

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あたらしい経済 編集部

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