ストラテジー、暗号資産評価損で5四半期連続赤字。Q1は約6,000億円の純損失

ストラテジーが暗号資産の評価損で5四半期連続赤字

ビットコインを最も多く保有する上場企業であるストラテジー(Strategy)が、5四半期連続となる赤字決算を5月1日に発表した。これは暗号資産(仮想通貨)保有分の未実現損失(評価損益)によるものだという。

2024年11月のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏による米大統領選勝利を受け、ビットコインは過去最高値を更新し、ストラテジーの株価も史上最高値を記録。この上昇が同社を2024年12月のナスダック100指数(Nasdaq 100)構成銘柄へと押し上げる要因となった。

しかしその後、トランプ氏が発表した一連の包括的な関税措置が世界市場を混乱させ、投資家のリスク回避姿勢を強めたとともに、暗号資産市場から資金を引き揚げる可能性も生じている。

マイケル・セイラー(Michael Saylor)氏が率いるストラテジー(旧マイクロストラテジー:MicroStrategy)は、2025年3月末時点のビットコイン価格82,445ドル(約1,185万円)を基準に、暗号資産に関して59億1,000万ドル(約8,501億円)の四半期損失を計上した。

同社は2025年第1四半期から新たな会計基準に移行し、暗号資産保有における未実現損益を公正価値(fair value)で評価できるようになった。

「公正価値会計における根本的な違いは、当社の保有資産が四半期を通じてではなく、四半期末日に評価される点である」と、最高財務責任者のアンドリュー・カン(Andrew Kang)氏は決算説明会で述べた。

同社はまた、新たに210億ドル(約3兆200億円)の「市場価格連動(ATM:at-the-market)」方式による普通株式発行を発表し、その資金をビットコインの追加取得に充てる意向を示した。

バージニア州タイソンズ・コーナーに本社を構える同社は、2025年4月28日時点で553,555BTC(ビットコイン)を379億ドル(約5兆4,460億円)分保有している。

ストラテジーの2025年第1四半期(1月~3月)の純損失は42億2,000万ドル(約6,065億円)で、1株あたり損失は16.49ドルだった。前年同期は損失5,310万ドル(1株あたり0.31ドル)だった。

2025年3月にはゲームストップ(GameStop)が、ビットコインを財務準備資産(トレジャリーリザーブ)として採用することを取締役会全会一致で決定し、ストラテジーの戦略と足並みを揃えた。

この動きは、企業が財務基盤を強化するためにビットコインのような代替資産の活用を模索していることを示している。特に、従来の収益源に逆風が吹く中でその傾向が強まっている。

2025年に入ってからストラテジーの株価は約32%上昇しており、ナスダック100指数が約6%下落しているのとは対照的である。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Saylor’s Strategy reports fifth consecutive quarterly loss, announces $21 billion equity offering
(Reporting by Atharva Singh; Editing by Alan Barona)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

VanEck、Avalancheエコシステム特化のファンド「PurposeBuilt Fund」を6月ローンチへ

米資産運用会社ヴァンエック(VanEck)が、レイヤー1ブロックチェーンのアバランチ(Avalanche)エコシステムに特化したプライベートデジタル資産ファンド「ヴァンエックパーパスビルトファンド(VanEck PurposeBuilt Fund)」の立ち上げ予定を5月21日に発表した。同ファンドは今年6月にローンチ予定で、適格購入者のみに提供されるとのこと

Brave、ポリゴン上で「.brave」ドメイン提供開始、Unstoppable Domainsと提携で

プライバシー保護に焦点を当てた次世代分散型ブラウザのブレイブ(Brave)が、主要ブラウザとして初めて独自のオンチェーントップレベルドメイン(TLD)「.brave」を導入したと5月21日に発表した。なお同ドメインは、ブロックチェーンドメインサービスを提供するアンストッパブルドメインズ(Unstoppable Domains)社との提携により実現した