韓国与党「国民の力」、暗号資産ETFの年内解禁と規制緩和を公約に掲げる

国民の力が7大暗号資産政策を発表

韓国の与党「国民の力」は、選挙で勝利した場合、暗号資産(仮想通貨)現物ETFの承認と、「1取引所-1銀行」原則の撤廃を公約した。現地紙「イーデイリー」が4月28日に報じている。

報道によれば、「国民の力」は国会で開かれた非常対策会議にて、「デジタル資産・暗号資産生態系育成のための7大推進課題」を発表した。

その中で同党は、企業および機関投資家が暗号資産市場に参入できるよう、関連制度の年内整備と暗号資産現物ETF取引の年内解禁を進める方針を示した。

韓国金融当局はこれまで、資金洗浄防止や不正取引の監視といった金融犯罪対策の一環として、実名口座を介した「1取引所-1銀行」原則を維持してきた。

これに対し、パク・スミン議員は、自ら選んだ銀行を通じて暗号資産取引ができないのは過度な規制だと主張。また、この原則が特定取引所に銀行提携を集中させ、市場の寡占化を助長しているとも苦言を呈した。

パク議員はさらに、諸外国での暗号資産現物ETF承認の事例を挙げ、「韓国も悠長に構えてはいられない」と述べた。古い規制が暗号資産および金融の成長機会を妨げてはならないとして、年内のETF解禁を目指す考えを示した。

また「国民の力」は、企業・機関・投資家による暗号資産取引の制度化も加速させる方針である。2025年第2四半期から非営利法人による暗号資産取引を開始し、時価総額の大きい上場企業約2,500社、専門投資法人約1,000社、計3,500の法人・機関が市場に制限なく参加できるよう、年内に制度整備を完了させる計画を示している。

その他にも同党は、トークン証券(STO)の法制化、グローバル基準に準じたステーブルコイン規制の導入、デジタル資産育成の基本法制定、画期的な課税制度の構築などを発表した。

「国民の力」は、4月4日にユン・ソンニョル前大統領が憲法裁によって弾劾・罷免されたことを受け、6月3日に実施される早期大統領選挙に向けて準備を進めている。

一方、「共に民主党」の候補であるイ・ジェミョン氏は、民主主義の回復と経済安定を主要政策に掲げて選挙キャンペーンを展開しているが、現時点ではデジタル資産規制に関する具体的な方針はほとんど明らかにしていない。

参考:イーデイリー
画像:iStock/NatanaelGinting

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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