ロシア財務省と中銀、「高度な資格投資家」向け暗号資産取引所を検討=報道

プロ投資家限定で3年間の実証実験へ

ロシア財務省と中央銀行が、プロ投資家向けの暗号資産(仮想通貨)取引所を設立するようだ。財務相アントン・シルアノフ(Anton Siluanov)氏が拡大閣僚会議で明らかにしたと、現地メディアのインターファックス(Interfax)が4月23日に報じている。

報道によれば、シルアノフ氏は、財務省と中央銀行が協力し、「高度な資格を有する投資家向けの暗号資産取引所を設立する」と述べた。この取り組みは、実証実験的法的枠組み(ELR)のもとで許可される取引の一環として行われるという。

ロシア中央銀行は3月11日、富裕層を対象とした特定の暗号資産投資に関する規制案を発表。「高度な資格を有する投資家(qualified investors)」に限って暗号資産の取引を認める計画である。この資格は、証券や預金への投資額が1億ルーブル超、または前年の所得が5,000万ルーブル超の個人に付与される見込みだ。

ロシア中央銀行の提案によると、ELRのもとで一部の投資家および企業が最長3年間の暗号資産投資実験に参加できる。

財務省金融政策局の副局長オスマン・カバロエフ(Osman Kabaloev)氏は、ブロックチェーンフォーラムにて「高度な資格を有する投資家の定義について、現時点では明確に説明できない」と述べ、議会メンバーとの協議中であることを明かした。

かつては暗号資産に強く反対していたロシア中央銀行だが、2023年には企業による国際貿易での暗号資産利用を認める法律を支持するなど、徐々に方針を軟化させている。これは、ウクライナ侵攻に伴う西側諸国からの制裁回避を目的とした取り組みの一環と見られる。

中央銀行は政府宛ての書簡にて、ELRの対象外でも、デリバティブ、証券、デジタル金融資産などといった、暗号資産の価格に連動しつつも現物を伴わない金融商品への投資を適格投資家に認めるべきと提案した。

その一方で、中央銀行は以前として暗号資産を支払い手段として認めず、ELR以外での住民間の暗号資産による決済を禁止し、違反には罰則を設けるべきとしている。

また、財務省副大臣のイワン・チェベスコフ(Ivan Chebeskov)氏は3月、既存の取引所インフラがELR内の暗号資産取引の場として利用される可能性があるとの見解を示した。さらに、新規事業者や取引プラットフォームの参入も検討されているが、特定のライセンス条件を満たした場合に限り許可される見込み。なお、実際の取引開始は少なくとも6カ月以上先になる可能性が高いと述べている。

参考:Interfax
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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